第二羽໒꒱ 繋ぐ飛翔
初めに思った事は、漆黒の虎眼がクリクリしている……ということだ。でも深く吸い込まれそうで、ちょっと怖い。
……鏡に映った、初めて見る『僕』のことなんだけど。
「自分に見惚れるのは、それくらいにしたらどうです? 」
「
胡桃色の着物に、金箔模様の黒羽織を着せてもらった僕はニコニコ振り返る。
「雛なのに、何処からそんな言葉覚えてきたのですか……?」
「それは卵の中の時に、多分『彼女』から……」
雛って言っても、別に子供な訳じゃない。
「着替えたなら、『彼女』について教えよう」
僕は座布団に行儀よく座った。柔と強ハネが混じる濃藍のウルフカットの髪をそよがせ、
「『彼女』の名は、
「それって……」
「ああ。〖
僕の思考は一瞬、停止する。
「敵なのに……? 」
「そうだ。今の盤上の戦が始まる前に出会い、開戦により別たれ、王となった。駒名が同じ者は、同種族なんだ」
僕は【
「盤上の戦は『王が死ぬ』ことを切っ掛けに、周期的に繰り返されている。新たな開戦と共に、駒になれば逆らえない本能が目覚める。盤上の戦自体が、いつから始まったのかは……歴史書でも追えないが」
「皆、戦いたくて戦っている訳では無いんだね。
「だが駒同士が再会する為には、戦禍に身を投じるしか無い。駒は一手が無ければ、敵地へ動けないのだから。……例え、殺し合う運命だとしても、再会したいと望むのは間違っているだろうか」
意外だった。睫毛を伏せた
「間違ってなんかないって思うよ。だって、『裏切り』の手段があるんでしょ? それを選べば……」
「【
「
「そうだ。王として安易には動けない故に、再会はいつの日になるか分からないがな」
「なら僕が、
「何故……
「だって、僕も
とっても良い気分って、羽毛がふわふわするんだな! 今なら飛べそうな気がして、 ピョンと立ち上がる! 笑顔で後ろ手を組んだ僕のことを、
「雛への刷り込みだろう。危険を冒してまで、
「僕にとっては、危険なんか無いよ? 」
「お前はまだ知らぬだけだ。
「……怒ってるの? 」
羽毛のふわふわがショボくれた僕は、
自分の口から【陰ノ地】へ行きたいとは、もう言い出せなかった。
それなのに……僕はウトウトと布団の中で、透ける障子窓から月光を浴びながら考えてしまう。卵の中から聞いた
なら、姿は。髪は、瞳は……掌の体温は? どんな風に笑うのだろう。
「見つけましたよ、
「僕の名前は
月光透かす障子窓は、
「答えてください。
「そうだと言ったら、僕を殺すの……? 」
薄く微笑する
「まさか。私は
心臓がドクドクと、選択を迫る。
どちらに笑っていてほしい?
「僕は……二人に笑っていて欲しいから、【陰ノ地】へいつか行かないといけないんだと思う。だけどそれは今じゃない!
「ハナから、貴方の意見など聞いていません。私は盗難品を取り返しに来ただけですから」
「僕はモノじゃないっ! 」
馬鹿だけど、僕は滅茶苦茶に枕を投げて抵抗する! 舌打ちした
「
叫んだ瞬間、
「
漆黒の虎眼を見開けば、駆け抜けて来る
――怖いのは浮遊感だけじゃない。濡れた
息を継いだ僕が
「
「了解ですっ、
障子窓を過ぎた
「〖燕前線】ってナニ!?」
「【陰】と〖陽〗の地の制空権巡る戦いの最前線は、戦況により常に変わり続けています。その最前線を、
元
「観念してくださいっ、【
金の
……正し。驚くべき事に
僕を抱えた
「私は【
「〖
「【陰】も〖陽〗も、皆同じ顔で紛らわしい! 最悪ですっ、これだから〖燕前線】は避けたかったのに! 」
「さぁ!
参戦した
「どゆこと……? 敵なの、味方なの? 」
「〖燕】は『裏切り』常習犯です! 〖燕】の群れが常に最前線を支配するのは、駒になる確率が高い種族の生存戦略。種族内の戦いにおける『裏切り』で【陰】と〖陽〗を入れ替え続け、別種族による敵味方の判別を
「よくご存知で! 【
翼翻す
〖燕】の見張り番をサボったか。ゴロンと肘枕で屋根に寝そべる〖
「よっ、
「あ? 寝てねぇ!!
カッと
✼•攻〖
「残念です♡ 私は従姉妹の
頭の赤いリボンをぴょこんと揺らして細ヒール揃え、
絶句する
「知ってるんだよ、私。
「何が言いたい!」
「
金の剣速が、朱の火花に散る! 廻す
「ハッ……それがなんだ? 『姉』を辞められないそのくせ、
飛翔した
「
「いい声じゃん。
炎の斬撃と化し、突撃する
✼•負〖
•┈敗北者:〖
「あ!? 雑魚に、俺が負けただと!?」
「秒殺☆ 成り上がりまで、
「知るか、ボケェッ!!
咆哮する
「そうね! 良く分かってるじゃん。理解の早いご褒美に、どうぞ」
――差し出された
「……これは、俺の髪紐じゃない」
「ま、貰っとけば?
躊躇いつつも……手を伸ばした
「ありが……」
「では、おっ先――!! 」
✼••┈☗1五燕┈••✼
「やっぱいつか、
ウィンク☆し飛び去った
「私の腕を狙い
「甘いですね、元
〖
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