チート勇者師匠は最弱訳あり聖女弟子を最強にしたい〜世界救済はちょっと待ってください!〜

田中丸

第1話



広大な森の中で2人の旅人が何やら話し合っている。片方は金髪でやや赤い瞳を持ち目つきは鋭い、そしてやや胸の比重が大きいながらも健康的な体を持った誰もが振り向く絶世の美少女。もう片方は一般男性よりやや背が高く髪はサラサラだが至って平凡な顔をした黒髪黒目の青年である。



「じゃあ今からお手本を見せるよ。せーの、『光よ』!」


その瞬間、万年鬱蒼としていた森の全てが光に照らされ、視界が白く染まる。光魔法の癒し効果で一瞬にして浄化された森からは澄んだ空気が漂い始めた。

「お、お師匠すごいです!!でもお手本なのに何も見えません!!!」


「……あっごめん。俺ってばルチにしっかり見せなきゃって気持ちでつい、」


「いえいえ!くぅ、サングラス持って来ればよかったぁ。」


「絶対サングラスでどうにかなる問題じゃないよね!?ごほん、気を取り直して!じゃあ次はルチがやってくれるかな?」


青年に言われた少女は意識を集中させ言葉を紡ぐ。


「『光よ』」


すると、微弱な光が指先にほんのり灯る。それを確認した青年はそっと少女の指先を己の人差し指と親指で囲い呪文を唱える。


「よし!そのまま,そのままだよ!!『計測』」


「ぐっぐぬぬ……ししよーどーですかーもういいですかーー!」


「うん!もう大丈夫。ルチ、新記録だよ。光の玉の大きさなんと5.5cm!一昨日より1.2cm大きくなってる。いやぁうちの弟子はなんて天才なんだ……!そして能力値も昨日より少し上がっている、これならささくれとか切り傷とか治せちゃうね。よっ聖女様!」


「ほんとですか!ぃやった!!!まあ、師匠の弟子で、最強最高の聖女になる予定の私ですから?当然です。」


満面の笑みで両手を上げて喜ぶ青年、そして腰に手を当てとてつもなくドヤ顔の少女。



そう、これは異世界から降臨し、超絶チートを持ちながらドがつく弟子馬鹿の師匠と、最弱で訳ありで素直なお馬鹿弟子が共にハーレム(逆ハー)を作ろうと夢見たり世界を救っちゃうドタバタ劇である。

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