第41話ダンジョン攻略隊改めエリス様救出部隊
3階から飛び降りた俺とスコリーは、着地寸前で風魔法で落下の勢いを落とし華麗に着地した。
着地に成功した俺は担いでいた生まれたての子鹿ばりに震えているスコリーを地面に下ろした。
「死ぬかと思ったんだよ!」
「いけるいける3階って言ったってたった数メートルだぞ?」
「そのたった数メートルでも人は死ぬんだよ!」
マジギレしているスコリーの愚痴を聞こえないフリをして無視していると、校門前に居た3人が走って近づいて来た。
「やっと見つけたぞアクト……。お前今まで一体どこ行ってたんだよ!」
「すまんすまん。ちょっとコイツのところ行っててな」
「は、初めまして僕はスコリー=ロイドですだよ。」
「スコリー=ロイド……ああ!あの天才一家の」
「そうその天才一家のだよ!」
「そうか…………ってそうじゃ無くて!アクト!」
「え?何?」
「エリスが帝国のクソ王子の所に嫁ぎに行ったぞ!」
「「………………はいぃぃぃ???」」
「は?え、どゆこと?」
「そ、そうだね!僕達これからエリス様にお届け物があったんだね!それにそんな事言ってなかったんだよ!」
そうつい先日俺達がダンジョン攻略をした時はそんな事言ってなかったし、何ならこんなゲームのイベントにはなかったぞ……
それに帝国の王子って言ったら、隣の国である王国にまで大の女好きで何人も妾がいるって噂が流れるほどの、女好きのクソ野郎だろ?
「いやそれはダメだろ絶対!王子お前何で止めなかったんだよ!それとも何だ?エリスが帝国の今年で34歳チビデブハゲの男のダメな所全部乗せみたいな奴が好きで、自分から嫁ぎに行ったのか?」
「そんな訳ないだろ!と言うかもしエリスがそんな変な趣味を持ってたとしても絶対に俺が止めてるわ!俺も今朝親父から伝えられて、その時にはもうエリスは帝国に向かってたんだよ!」
「それなら何でもっと早くに教えなかった!」
「伝えようと朝から俺達3人でお前の事探してたんだよ!」
王子とアクトが取っ組み合いをしながら言い合っていて、それを止めようとシャロとユウリはアクトと王子の間に入り、スコリーはその様子をただただあわあわしながら見ていた。
「そうか……」
事情が聞けなかった原因が自分にあると分かると、興奮して熱くなった頭がスゥーッと冷めていき、キール王子の襟元を締め上げていた手の力をそっと抜き手を離した。
「すまん……熱くなった」
「いや、大丈夫だ。俺も聞いた時には親父に詰め寄ったからな」
「シャロは王子の顔面を殴ったよ!」
「私もキール様が悪いとは思っていなかったのですが、少し手が出てしまいまして……」
「なるほどな……だから王子の両頬が赤くなってたのか。」
そんな事を俺達4人がしていると、先程から黙りこくっていたスコリーが大声で俺達に話しかけてきた。
「え、エリス様は絶対に自分の意思で嫁ぎに行かないんだよ!!!」
いきなりスコリーが叫んだことに俺達は驚き、そちらへと振り返った。
「んなもんスコリーお前に言われんでも分かっとるわ。俺達が何年友人してると思ってんだ」
「アクト様それが例え当たり前のことだとしても、別に言い返さなくても良かったのでは無いですか?」
「シャロとエリスちゃんは親友だからね!当然知ってるよ!」
「そうだな、帝国はうちのトワイライト王国よりもデカい国だ。帝国から脅されたかして無理やり連れて行かれたんだろうな」
スコリーの叫びにそう返した俺達4人……いや5人は互いの顔を見合わせた。
「なら今から俺達がやる事は1つだな!シャロ!」
「うん!」
「ユウリ!」
「はい」
「王子」
「おう」
「そしてスコリー」
「だね!」
「これより我らダンジョン攻略隊改め、エリス様救出部隊は帝国に侵入し我らが盟友エリス様を救出するぞ!」
「「「「おおー!!!」」」」
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