第38話服を溶かすタイプのスライム

俺達は魔物の大群から逃げる為に、来た道を全力で引き返した。


「なんて物持って来てんだよ!」

「すまないんだよ〜!僕も持って来たつもりはなかったんだね!」

「どうします?アクト様私が別の子を出して倒しましょうか?」


なるほどその手が!


「ってダメだ!コッチにはまだ見慣れてないロリっ子が1人居るし、何ならいつものダンジョン入れる人間が決まってるから、めちゃくちゃやっても基本迷惑にはならんが、もしここで暴れて洞窟が潰れでもしたら一大事だ」

「それもそうですね……。それではアクト様の魔法は?」

「すまんな今日は殆ど家に置いて来たから、あと数発打ったら俺は気絶する」

「それじゃあどうするんだね!」

「そんなもん全力で走るんだよ!」


俺達は走った。

途中来た道から別の魔物の集団が現れ、その度に別の方向へと走って逃げた。

その結果が……


「行き止まりだな……」

「どうしましょうか?」

「どうするんだね!」


まっずい。

いつも俺がイキっていられるのは前世の知識があるからだ。

こんなゲーム本編で一切出てこなかったダンジョンの事なんて知るか!

どうする?


「あ、やばいんだね!足音が近づいて来たんだね!」

「くそッ……」


本当に何か無いか?


アクトはそう言って洞窟の隅々を見渡した。

そして見つけた。


「お前らあそこの亀裂に入れ!」


俺達は洞窟の壁に出来た人1人がギリギリ通り抜けれる様な、わずかに空いた洞窟の裂け目に入り込んだ。


その裂け目の先は光が一切入ってこないせいか真っ暗で、何も見えず床や壁が何かヌメヌメしていた。


「ここ気持ち悪いんだね」

「静かにしろスコリー。ここがバレたらどうするの」

「す、すまないんだね……」

「ですけど本当にここ、スコリー様の言う通り床や壁がヌメヌメしていて気持ち悪いですね……」


俺達が亀裂に入った後ショゴスもどきがその亀裂を塞ぐ様に、隙間に体を捩じ込んだ為こちらから向こうの様子は確認できなくなり、それを確かめる為に俺は洞窟の壁に耳を当て、魔物の大群が居なくなるのを待った。


魔物の大群が来てから大体10分ぐらいだろうか、俺たちが居ないと分かった魔物大群は来た道をぞろぞろと戻り始めた。


「よしお前ら魔物の大群が帰って行ったぞ」

「よかったです」

「危なかったんだね!」

「と言うか本当にこの部屋は何だったんだ?何かヌメヌメしてて気持ち悪いし、めちゃくちゃ暗いし……」

「それなら僕ランタン持って来てるからつけるんだね!」

「ナイスだスコリー」

「ありがとうございます。スコリー様」


感謝の言葉を言われたスコリーは少し照れながら、ランタンの火を灯した。

すると少しずつ視界が明るくなり部屋の様子がわかった。

部屋の大きさはそこまで大きく無い正方形の形で、部屋の全体に粘性のある謎の白い液体がへばり付いていた。


「何だこの液体は?」

「「きゃぁぁぁぁぁ!!!!!」」


俺がその謎の液体の正体を探ろうと、その液体に触ろうとした瞬間背後に居た2人の悲鳴が聞こえ、俺は急いで振り返った。


「どうした2人とも!………………!?」

「見ないでくださいアクト様」

「エッチ何だね!」


振り返った先にいたのは白い粘性の液体が体中にかかり、そしてその白い液体が触れた所の衣服が溶け、あられも無い姿になっていたエリス様とスコリーがそこに居た。


「す、すまん……。一旦2人ともこの部屋出ようか。」


部屋を出て改めて自分の格好も確認してみると、靴と靴下は溶け裸足になっており、警戒する為に壁に耳を付けていた時に触れたのか、制服の袖部分が少し溶けていた。

だが、問題なのは俺じゃなく残り2人だ。

エリス様は疲れて床に座っていたらしく、スカートやパンツは全て溶け、天井から垂れてきた液体に触れ胸辺りも溶けていた。

そしてスコリーの方なのだが、奴はあんなネバネバの所で何を思ったのか寝転んだらしく、今は産まれた時の姿になっていた。


「さて、本当にこれからどうしようか……」

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