第36話幼女な天才

測定会も終わりエリス様は学園長直々に、学園内での魔法の使用を禁止を言いつけられ、そして俺に勝負に負けて学園内を黒のローブと黒のマイクロビキニという、俺の性癖100%な格好で走り回ったと言う噂を聞いた翌日、俺達のクラスに攻略隊のメンバーが集まっていた。


「流石にエリス様のアレはまずかったかな?」

「そうだな……俺達はもう何だかんだで見慣れたからよかったけど、そういや俺も初めてアレを見た時は、今のおかしくなってる生徒と同様に、発狂した様な記憶がある様な気もするな」

「それでお兄様どうするの?エリスちゃんこのまま魔法使っちゃダメって、流石に可哀想じゃ無い?ね?エリスちゃんも嫌だよね?」

「え!えっとわたしは……」


そうだよな……

流石に俺がエリス様の魔法を自分好みに魔改造した結果が、例の事件だから出来れば解決してあげたいけど……


本当どうしよっか?


「…………そうだ!」


天才的な案を思いついた俺はとある人物に会いに、部活棟にある数ある内の部室の中の、魔科学研究部と書かれた張り紙が貼られた扉の前にやって来た。


「出来ればキャラ的に関わり合いたく無いが、キャラ設定的にはいつかは会わなきゃならなかったんだ……。覚悟を決めろよ俺!」


数度自分の頬を叩き覚悟を決めた俺は、その部室の扉を開いた。


「スコリー=ロイドはいるか!依頼を頼みに来たぞ!」


扉を開きそう叫んだ次の瞬間、部室内で何かが爆発したのと同時に、謎の部品が俺の顔目掛けて飛んできた。

それを速射レーザーで撃ち落とし、断り無しにズカズカと部室内へと歩みを進めた。


部室内は床には失敗作であろう壊れた謎の機械や、何かしらの資料がそこら中に広げられていた。

そしてその奥にお目当ての人物のスコリー=ロイドが、ゴテゴテ色んな機能の付いたゴーグルを目に当て、体に似合わないブカブカの白衣を着込んで、謎の装置を作っては爆発させていた。


「おい、聞いてるかスコリー=ロイド」

「…………」


声を掛けても反応しないスコリーにため息を吐きながらも、今回は俺が物を頼みに来た方なのでスコリーが満足して手を止めるまで待つ事にした。


そしてそれから大体1時間経った頃、


「ん〜!今日はこれぐらいでいいかね?…………って誰だね君は!と言うかどうやってここを見つけたんだね!」


スコリーが振り返った先に、あたかもずっと自分もここに居ましたよ。と言わんばかりに勝手に椅子に座りくつろいでいるアクトを発見して驚いた。


「俺の名前はアクト=ホワイトだ。ここに来れたのは企業秘密で、今日ここに来たのは貴様に依頼を頼みに来たからだ」

「なるほど、なるほど……アクト=ホワイトね〜。なーんかどっかで聞いた事のある名前だね?」

「それもそうだろうな、貴様らロイド一家に資金援助してるのがうちだからな」

「あ、ああ!そうだっのだね。全然忘れてないのだよ!ちゃんと魔力量の少ない人でも使える魔道具の開発もしてるんだよ!」


俺の正体が分かると、明らかに額には油汗を大量に滝のように流しながら、慌てて自己弁護をし始めた。


「安心しろ。それをロイド家と言うよりかは、貴様の父親に頼んでいるのは、俺の父上で俺は既に別の方法で魔法が使える様になっているから問題ない。」

「あ、そうですかね。それじゃあ今日は何の用だね?」


いや、分かってた事だけど鬱陶しい話し方するな。


スコリー=ロイド

総魔力量測定機などの魔法に関する装置を数多く輩出した一家の娘で、その頭の良さから10歳という年齢で王立学園に入学しており、その殆どを授業に出るでも無く、ここ隠された部室魔科学研究部に入り浸っている。


そして10歳と言うことも本人が気にしており、他の生徒からバカにされない様に偉そうな話し方をしているのだが、それが絶妙に気持ちの悪い感じの話し方になっている人物だ。


そして俺がコイツに関わり合いになりたくなかった理由が……


次の瞬間部室の中にあった何かが轟音と共に爆ぜ、その部品が何故かコチラに一直線に飛んできた。


そうスコリー=ロイドは周りに被害を出すタイプの不幸体質の持ち主だ。

ゲーム本編では暴走した装置や薬品でのエロイベントが幾つかあったが、そんな人物がもし現実に居たら誰が関わり合いを持ちたいと思う?

俺はエロイベントよりも自分の命を優先したいので、出来れば関わり合いを持ちたく無い。


飛んで来た部品は速射レーザーで消し飛ばして、俺はそのまま話を続けた。


「今日はスコリー貴様に俺個人からの依頼を頼みに来た。もちろん報酬は弾んでやる」

「ほ、本当ですかね!」

「ああ、お前もどうせ失敗続きで資金が枯渇して来た頃だろ?」

「な、何を作ればいいんだね?」


そのスコリーの必死さ加減に、俺は自分が思っていたよりも資金不足だったのだと分かった。


「今回貴様に頼みたいのは2つだ。1つ目が対象の認識を別の物に変える装置だ。こっちの装置は出来るだけ早く、そして持ち運び可能なタイプにしてくれ。」

「それならちょうど今作っているのが似たような物だから、1週間もあれば出来るんだね」

「そうか、ならもし1週間以内に作れたら報酬を増やしてやる。」

「あ、ありがとうございますだね!」

「そして2つ目が空を飛べる、もしくはその補助の出来る装置を作ってくれ。こっちは俺の個人的な装置だから完成までの期限は特に設けない」

「なるほどだね……」

「ただし、完成するまで報酬は払うつもりは無いからそのつもりでいろよ」

「当たり前だね!」


そう言って俺達が握手を交わした瞬間、地面に落ちていた装置に足をかけられたスコリーが俺の事を押し倒して来た。


「す、すまないんだね///」


転んだ際に俺とスコリーの制服が捲れる肌同士がぶつかり合い、スコリーが顔を赤くさせて急いで制服を戻すと俺から離れる様に立ち上がった。


「俺に幼女趣味は無いから安心しろよスコリー」

「僕は幼女じゃ無いんだね!」

「すまんな流石に10歳は守備範囲外だ。それに犯罪者にはなりたく無いからな。あ、それと何か必要な素材があれば言ってくれよ、取ってくるから」


そう言うとアクトは手を振りながら部室を後にした。

残させれたスコリーは1人部室内で「幼女じゃ無いんだね!」と叫んでいたが、残念ながらその発言は誰にも届く事は無かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る