第5話脳内エロガキクソジジイ

「お父様!これはどういう事ですか!」

「そうですよ!お義父さんユウリさんが入ってるなら事前に教えてくださいよ!」


あの後裸を見られたユウリに大声で叫ばれた挙句に、全力のビンタを食らった俺と、その被害者であるユウリで、今回の件の黒幕であるユウリの父親にして伯爵のゲイル=エインズワースに直訴しに来た。


「お父様がアクト様が来る前に身を清めるのが礼儀だと言うから、温泉に入ったらこうなったんですよ!」

「そうですよ!俺も温泉を楽しもうと思ったら、思いっきりビンタされた挙句温泉に浸かれてないんですよ!」

「ハッハッハ!すまんすまん。いやーてっきりわしはもうユウリが上がったとばかり……勘違いとは怖いのぅ」


この……クソジジイ

俺がユウリ=エインズワースの見えない地雷を踏まない様に努力しようと思った矢先に、意気揚々と地雷原に突き落としやがったな!


「いや〜すまんすまん。アクトくん今からでも温泉浸かり直して来てもいいぞ?」

「いえ、今はそんな気分じゃ無くなったので、夜に頂きますね。」

「そうか……」


そうか……

じゃねぇよ!反省しろよクソジジイ!

こちとらこれでも公爵家の長男だぞ?王家の次に偉いとこの長男様だぞ?


「それであの、ずっと気になってたとこがあるんですが質問いいですか?」

「ほう質問とな、聞こうか」

「えっとまずは、自分とユウリさんは昨日初めて会ったのは間違い無いですか?」

「ああ、ユウリはそこまで積極的にパーティー何かにも出なかったから、多分初めてだと思うぞ?なぁユウリよ」

「はいそうですね、一応遠くから何度かお見かけした事はありますが、実際にアクト様とお会いしたのは昨日が初めてですね」

「ですよね……」


だよな!そうだよな……

ここで急に昔会った事あるとか言われなくてよかった〜


「それで何ですけど、どうして昨日あったばかりの、例えそれが婚約者だとしても、そんな関係値の薄い自分が今日から1週間もこちらにお世話になる事になったんですか?」

「それは……」

「それは?」

「実は……」

「実は?」

「酔った勢いでこうなったんじゃ」


そうゲラゲラと、笑いながら話すクソジジイの話をようやくすると、ユウリが俺が裏庭で魔法の練習をしている所をたまたま見たらしく、それで話をしてみたいとこのクソジジイに相談した所、クソジジイは酔っ払った状態でうちに通信魔道具で連絡をかけて来たらしく、そこで、話をしたい→会いたい→会うならいっそ泊まった方が→泊まるなら1週間ぐらいが妥当だろうという感じに勝手に脳内変換をかけて、これまた勝手に約束を取り付けたらしい。


「なるほど……そういう事だったんですね伯爵」

「ちょっとアクトくん!?」

「どうかしましたか?"伯爵"」

「うっ……すまん」


まさかの事に少しイラッとした俺は、お義父さんとは呼ばず、少し強調しながら伯爵と呼ぶと、反省したのだろうお義父さんが俺とユウリに頭を下げた。


「冗談ですよお義父さん。顔を上げてください」

「そ、そうか」

「それじゃあ自分はユウリさんと少し話をして来ますので、行こうかユウリさん」


そう言って立ち上がりユウリの方へ手を伸ばそうとした次の瞬間、足元に不自然な風にが吹き、その風に足が取られユウリに覆い被さる様にして倒れた込んだ。

その際、12歳にしては少しデカく柔らかい2つの山脈に俺は顔から突っ込んだ。


「ぷはっ!ご、ごめんわざとじゃ」


そう少し顔に残った温もりと、温泉独特の匂いに混じった女の子らしい匂いに気を取られながら、急いで謝ると、その姿を見て先程の不自然風を起こした張本人が豪快に笑い、そのまま子供の様に笑いながら部屋から逃げ出した。


「それじゃあ後は若いもん同士で楽しむんじゃぞ」

「待てや!この脳内エロガキジジイ!」

「アクト様申し訳ありませんうちの父親が……」

「あっいえ、迷惑を被ったのはどっちかっていうと俺じゃなくてユウリさんなので、ユウリさんが謝る様な事じゃありませんよ」


そうは言ったもののアクトの内心は、はいっ終了ー!俺終了のお知らせでーす!

これは間違いなく好感度マイナスだは、まさか敵がこんなにも近くにいたとはな……

どうすんの?俺出会って2日目で、風呂除いた挙句に胸に顔埋めちゃったぞ?

そんな事しちゃった相手とこれから1週間生活すんの?

気まず……


「あ、えっとそう言えば、ユウリさんが俺と話したいっていう内容って何ですか?」


俺がそう聞くと、今まで少し照れているのか顔が少し赤らんでいたユウリの顔が一瞬で暗くなった。


おおっと、これは俺ぶち抜いちゃったかな?地雷

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