第28話 妹

ドリアード様たちが話をしているのをぼーっと眺めていると、急に後ろから声をかけられた。


「あなたから私に流れ込んだ魔力の残滓を感じるのだけれどどういうこと?」


私が後ろを振り向くと、そこには少し小さなドリアード様がいた。私は妖精たちと談笑しているドリアード様を見ると、そこにも確かにドリアード様がいた。


「ねぇ。私の体内にあなたの魔力の残滓を感じるのはなぜ?」


私はステータスの内容を思い出す。確かドリアードが2人テイムされていた。その片割れがこの子なのだろうと推測して話す。


「おそらくですが、私があそこで談笑しているドリアード様をテイムしたことであなたも一緒にテイムされてしまったのだと思います」


「テイムは個人間のつながりでしか生まれないはず。あなた何のスキルを持っているの?」


「えーっと。【友達の輪】というスキルです。ちなみにテイムのスキルは持っていないのでこのスキルが原因かと思われます」


「そう。【友達の輪】ね。聞いたことがないスキルね。それで私たちをテイムして何かやりたいことでもあるの?」


その時に、ドリアード様を中心とした妖精会議が終わったらしくこちらの会話に参加し始めた。


「おお。娘よ。我はこの人間、清美と一緒にダンジョンの外の異世界に行くことにしたぞ。其方ももう一人前なのだから世界樹の世話はできるじゃろう」


「相変わらず勝手ですね。お母さま。それで妖精たちはどのくらいお母さまについていくのですか?」


ドリアード2人は驚いた様子もなく会話を続ける。立場が逆な気もするが娘の方がしっかりしていることもあるだろう。


「とりあえずはノームを全員とサラマンダー1、ウンディーネが2と言ったところじゃの。清美たち人間は土木工事ができる人員が欲しいみたいじゃからノームはとりあえず連れて行ってなじめなさそうならここに戻るように説得したところじゃ」


「分かりました。抜けた妖精の契約は私の方で何とかしてみます。ですが、テイムされている状態でそんなに離れて何も影響はないのでしょうか?」


「清美の話ではドワーフやウルフ、ピクシーが今、ダンジョンの外にいるようだが何も問題ないようじゃぞ」


私は突如疑問に思ったことを口に出す。


「ところでテイムってどんな効果があるのだろう?」


と呟いた瞬間、ドリアード親子の視線がこちらへ向いた。


「お主、そんなことも知らずに儂をテイムすることを受け入れたのか?最悪の場合、其方が儂の下僕となっておったぞ」


「ああ。そうなることもあるとはリン君。こちらのハーフリンクから聞いています。まあドリアード様なら下僕となっても無茶なことは言われないだろうと思っていたので大丈夫です」


エルフと妖精たちは呆れた顔でこちらを見ていた。唯一ハーフリンクたちだけが微笑んでいたのだった。

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