第17話 交渉

私たちが案内されたのは立派な石材でできた家だった。木は貴重品なのであろう。少ししか使われていない。まあ山の洞穴に作られた家なので木を運ぶのに苦労するのは分かるが。


「いらっしゃい。お嬢さん。それともマスターと呼んだ方がいいかな?。それとガルフ戦士長もご苦労じゃった」


「いえ。私も貴重な体験をさせていただきました。それで長もテイムされたことにお気づきでしたか」


「ああ。私とは違う魔力の流れを感じたのでな。違和感を覚えたのだよ。そして彼女に合って確信に変わったというところじゃな」


ガルフ戦士長は、なぜドワーフたちがテイムされたかについて話した。長はにわかに信じがたいといった顔をしていたが、実際にテイムされているので信じるほかなかった。


「つまり、私以外の住民も皆、彼女にテイムされているということじゃな」


「はい。清美嬢が言うにはドワーフ15名をテイムしているということでしたので里と採掘に参加しているドワーフは皆テイムされている状態です」


「それでお嬢さんは我々に何をお望みかな?」


「これは強制ではありませんが、私たちに砦を作る素材と手助けをしてほしいのです。理由はダンジョンの外に私たちの居住する島があるのですが、もう一つダンジョンが発見されました。そこにはオークの群れやオーガといった魔物がいたので私たちに被害を出さないためにダンジョン前で食い止める施設が欲しいのです」


「理由と状況は少しは分かった。しかし、我々への影響はどうなのかね?」


「おそらく食料の提供がなされない程度で今まで通りの暮らしが可能かと思われます」


戦士長がそういうとドワーフの長は考え始め、その場は静かになった。そして少し時間がたち。


「お嬢さん。テイムはまだ可能かね?」


「すみません。私のテイム可能数が分からないためできるとは断言しがたいです」


「ちなみに今のテイムしている数は?」


「ウルフが18、ピクシーが30、ドワーフが15です」


「その数だけでも驚異的だのう。戦士長。西のドワーフについてどのくらい知っておる?」


「非常時には協力する程度しか知りません」


「実はの、西のドワーフから食料の支援が欲しいとの要請が来ておるのじゃよ。それでこちらに来てもらっても構わんから、お嬢さんのテイムを受け入れることを条件にして支援を行ってくれないか?」


「それは私たちは構いませんが、こちらのドワーフの皆様はそれでよろしいのですか?」


「構わんよ。ワシ等もお嬢さんたちから食料支援を受けるつもりじゃ。任せきりで申し訳ない所をワシ等にも役目を与えてくれるのだからこれくらいは請け負わんとな。それでついでに困っておる一族も救ってもらおうという都合のいい話じゃ」


「では、西のドワーフたちをテイムしてここに連れてきた場合はご協力いただけるということで構いませんか?」


「それで、よろしくお願いする」


こうしてドワーフの長との話し合いは終わった。

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