あずくんと海




 生後9ヶ月の頃、あずくんは海のそばの家に引っ越しました。


 海まで歩いて、3分。

 あずくんは物心つく前から、波の音を聞き、砂浜のうえを歩き、お魚や鳥さんを身近に感じながら大きくなりました。


 今日は、あずくんが海ですごすようすをすこしのぞいてみましょう。




 1歳になり歩けるようになると、海が定番のおさんぽコースになります。

 道中、ご近所さんから声をかけられます。気に留めることなく、あずくんはずんずん、海へ向かいます。


 海に着いたら、うんしょ、うんしょ、階段を昇って。

 お砂に足をおろしたら、もうこわいものはない!

 波打ちぎわも河口も、へっちゃらです。


 ぱちゃぱちゃ、じゃぶん。

 浅い水の上をジャンプするのは、本当に楽しいのです。




 あずくんがいちばん好きなのは、浅い海辺に寝そべって、空を見上げること。

 背中と頭がひんやりして、心地いいんです。


 浅瀬や河口には、お魚さんやかにさん、やどかりさんがいーっぱい。松林には、ちょうちょに、まつぼっくり。時々、ヘビさんやカナヘビさん。

 こわいけど、気になって、さわってみたり、にげてみたり。




 砂のうえも、どこまでも歩いていけます。

 海岸の波打ちぎわにそって、行けるところまで歩いて(ときどき走って)ゆくのがだいすき。

 おさんぽに出かけると、2~3時間は帰ってきません。


 あまりにも遠くまで歩いていくので、ふと距離を測ってみたら……2歳の夏にはなんと、海岸沿いの砂のうえを2km歩いていました。

 「帰ろうよ」と言っても帰らないので、どうしようもないのです。ママとパパは、あずくんの後ろをトコトコ追っかけるしかないのです。




 春には、パパと貝ほりに行きます。

 砂のなかを、えっさえっさとほっていくと、すこし大きな貝が埋まっているのです!

 砂をぬいて、ママがその貝をお汁にします。あずくんの、大好物です。

 そのときは近所のお店ですこし高級なハマグリも買ってきます。

 焼きハマグリに、貝汁。なんてぜいたくな食卓でしょう!




 夏はとうぜん、海で過ごします。「あずくんと夏」は、別の機会に。

 夏は平日の夕方も、海にでかけます。

 パパの帰りが遅い日は、ママがお弁当を作ります。2人でお弁当をもって、海にしずむ夕日を見ながら食べるのです。

 海で食べれば、どんなにあずくんが食べこぼしても、ママはちっともいやな顔をしません!




 お魚をさばくのが好きなパパ。

 あずくん一家の週末は、お魚を買いにいくところから始まります。

 お天気をみて、お魚の入荷を確認して……

 近所の産直市場にいくと、いつもいけすの中をお魚が泳いでいます。あずくんはそれを眺めるのがだいすき。

 パパがお魚をぎんみしているあいだ、あずくんはいけすを眺めては歓声をあげるのです。


 あずくんは、お魚を食べるのもだいすき。

 お刺身では食べられないから、パパがあずくんのぶんだけ焼いたり、から揚げや天ぷらにしてくれます。

 たくさんたくさん食べても、翌日にはまたお魚が食べたくなっちゃう。

 2歳児とはいえ、くせになっちゃうんだろうなぁ。




 3歳になり、いままで以上に水にも興味があり。

 ママはヒヤヒヤですが、あずくんはきっと今年もずんずん海に向かってゆくのでしょう。

 事故にだけは気を付けて、ぜったいに目を離さないように。

 見守りながら、あずくんが海とおともだちになってくれたら良いなと思うのです。


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