第28話 違いますよ⁉

 中国の方が経営しているとある中華屋さんにて。

 支払い時に一万円札を出したところ、


「あら?これ古いお札ですね⁉」


 と言われた。

 一瞬、何のことか全く分からなかったものの、良く見ればわたしの出した一万円札には、確かに偽造防止のキラキラが無かった。

 財布の中の他の一万円札を見ても、全て無い。(そんなに何枚も持っていた訳ではないけれど)


 この間、ATMで下ろしたばかりなのに、全て古いお札ってこと!?

 いや、そんなことって、ある⁉

 この偽造防止のキラキラがお札に付くようになってから、もう結構経ってるよねぇ⁉


「そうですね……でもこれ、先日ATMで下ろしたばかりで」


 何も悪い事をしていないのに、何故だか居心地が悪くなってしまう。


「そうなのですか?珍しい」

「偽札じゃないですよ⁉」


 思わずそう口にすると、店員さんはニッコリと笑って言った。


「大丈夫ですよー、古いお札取ってあるんです。ありがとうございます!」


 なんだ。

 逆にお礼を言われるとは。

 わたしも古いお札、取っておいた方がいいだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る