居所語り

片手に収まる中には 彼らの居所がある


おはよう おやすみ

共に過ごした仲なのに

いつの間にか一人になってた


街角 道端

何時でも賑やかなのに

今日はなんだか淋しいや


手を振れば不機嫌に返して

お辞儀をすれば笑ってくれた

そんな毎日だったけど


いま この手に残るはなんですか


『押し殺した 胸の奥 秘めし恋情

 抗えず』


『気付くは己と知りながら

 共にいるのみ 情けなし』


『回る輪廻 幾時か 

 再び共に在らんこと』


残ったのは 首元 赤い筋


繰り返す時の中で 気付いていた

本当は そこに 僕はいなかった


記憶の中 胸の奥

彼らがいたはずなのに

残された欠片だけ僕の身に宿る


何時からか 何時の日か

僕らは覚えてたはずなのに

僕らは彼らの残像でしかないと


梁に掛かる綱に首かけ

先に笑い行っていた彼らがいた

そんな事も忘れていた


いま この場所に彼らはいない


『愛しいと 告げしも 落とした露は

 すくわれしか』


『己の忌し情を宿しも

 認めし主 いと尊き』


『生まれし 喜びしも

 いづれは言を噤みしよ』


残された 言葉は 残酷な


消え去った彼らは 気付かれずに

出来損ない 僕らは 認められた


なんて残酷だった

愛しい彼女を生かし切った

彼らはころされたのだろうか


嗚呼、けれど

結局は認めたくはない僕らの存在も

殺され続けて死に絶えた


彼らに変わりはない



◇メールの下書きに残された詩のようなもの◇

◇時系列から、スレッドログの【結城】により執筆されたものと思われる◇

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