誰かが吐き捨てたかった言葉

◇メモ帳機能に残された文書◇



自分を少しずつ疑い、自分を自分ではないと思い、自分は自分ではないという思いを否定しようとした時

やさしくあなたはあなたでしかないと言い聞かせれることは、正しく真綿で首を絞められているという事だったのではないか


あなたが指す”あなた”は果たして本当に私ですか

かぶった仮面ではありませんか

かぶった猫ではありませんか


心臓が締め付けられて、どうすればわからない状況が理解できますか

何を思っているのか理解できないことがわかりますか

楽しいと思えないけれどつまらないとも思えない

何を感じているのか感じればいいのか理解できないことがわかりますか


楽しいことはたのしいことは分かります

悲しいことが悲しいことは分かります

分かるだけなんです


知っているのかはわからないのです

誰かが知っているはずだというのなら知っているのだと思っている

誰かがわかるはずだというのならわかっているはずなのだと思っている

そんな状況が理解できますか


喉が締め付けられるということがわかりますか

言葉が出ないということが理解できますか

話す意味を失った世界が理解できますか


どんな言葉も意味をなさずに消えていく状況が理解できますか

誰の耳に届かないなら声なんてなければいいと思う思想を理解できますか

失った言葉を惜しむ言葉にすら意味がないと思う状況がわかりますか


自分の意味が分からなくなる瞬間が理解できますか


二度と目を覚まさなければと願う心を理解できますか


どうでもいいですか?


あなたの名前も存在も失ってもそういえますか

失ったことも傷ついた事実も認められずに大丈夫と言われてもどうでもいいですか

目の前で嘔吐しても大丈夫といわれる状況を理解できますか

血を流すことも救いとなる状況を理解できませんか


あなたの頭は空っぽですか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る