第7話 危険な能力

「銀太郎起きて」


 銀太郎がゆっくり目を覚ますと、彩花がカプセルの横に立っていた。


「えっ!」

「今、寝たばかりなのに!」


 銀太郎は、まったく寝た感じがなかった。でも、疲れはまったく無くなっていた。


「今日は、外へ出て能力を体感してもらうわよ」

「その前に、一つ守ってほしいことがあるの」

「絶対に高速で動いているときに止まって見える物にぶつからないこと!」

「通常柔らかい物でも、こっちが高速で動いているときはその速さに比例して固くなっているの」


 と彩花が言うと、凜が彩花の背後から被せて言った。


「だから、ぶつかると死んじゃうよ!」

「キャハハハハハ」


「ホントよ!」


 と彩花がまじめな顔で言った。


「あ、それと」

「凜ちゃんが開発してくれたこの『無抵抗スーツ』を着てね」


「無抵抗スーツ?」


「そう。」

「この『無抵抗スーツ』を着ないと、空気抵抗や水の抵抗が大きすぎて超高速では動けないのよ」


 この『無抵抗スーツ』は、肌色で全身を覆う薄いビニール製のような物で、サングラスの様なゴーグルとマスクがセットされていた。顔も含め全身をカバーする第二の皮膚みたいな物だった。


 凛がにやけて言った。

「早く、着替えなさいよ❗」

「肌の上に直接に着けてね❗」


「えっ!」

「二人の見ている前で!?」


 銀太郎が、顔をひきつらせて聞くと、彩花もにやけて言った。


「私たちは、ドアの外で待ってるわ」


 銀太郎が着替えてドアから出ると、彩花と圭太が、すでにスーツを着て待っていた。


「今日は、この三人で行くわよ」

「銀太郎も、遅れないでちゃんと付いてきてね」


 彩花は、そつ言うと廊下の奥にあるエレベーターに入った。続いて圭太と銀太郎が入ると、彩花は身構えて言った。


「行くわよ❗」


 そして、エレベーターの赤い三角ボタンを押した。


 次の瞬間、三人は地上にいた。


「えっ!」


 銀太郎は、何が起きたのか解らず驚いた。


 そこは市街地で、沢山の人が居たが銀太郎には、そこにいる人々は止まっているように見えた。


「銀太郎、みんな止まって見えるでしょ」

「それは、私たちが超高速で動いているからよ❗」


 と、彩花が言った。


 銀太郎が、辺りを見回すと他にも動いている人が見えた。


「あれっ❗」

「俺たち以外にも動いている人が居るよ❗」


 と、銀太郎が言うと彩花と圭太の顔は、殺気を放った。


「銀太郎、気をつけて❗」


 彩花が、銀太郎に言った次の瞬間。

 彩花と圭太は、言葉を失った。


     ・・・・・










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