第3話 片井のいない赤木たち
〜〜赤木視点〜〜
俺の名前は赤木 迅平。
探索者パーティー、
細マッチョの体とこの整った顔立ち。
正直いってモテている。
顔出し配信だからな。
女は俺の魅力にメロメロさ。
「メガファイヤー!!」
俺の出した炎の魔法で、ダンジョンの中は真っ赤に照らされた。
雑魚モンスターを一掃。
最高の演出。
配信動画のコメントは大盛り上がり。
半数以上が女だ。
「へへへ。今日も絶好調だぜ」
ゴミクズの片井がいなくなって伸び伸びと探索ができるってもんだなぁ。
本当、ゴミ掃除って気分がスッキリするよな。新生
それに、今日はファンとのオフ会が控えてるからな。
ちゃちゃっと攻略して可愛い子と楽しみたいよな。デヘヘ。
「ふっ! 僕の攻撃も忘れないでくださいよ!」
俺の出した炎を破って入ってきたのが青野原 俊である。
「アクアナックル!!」
こいつは回復が得意だが、攻撃スキルとして水属性の技も使うんだ。
水を纏った拳の一撃。
雑魚モンスターは瞬殺である。
悔しいが、容姿だけは俺よりイケメンだ。
とはいえ、俺と青野原はタイプが違うので女のファンを増やすのは最高の相棒といえよう。
続いて、最後のメンバー。
紅一点。緑川
男のファンはこいつが増やしているといっていい。
「ウッドシェイカー!!」
木属性の攻撃魔法を得意とする女探索者だ。
キツイ性格だけどよ。色っぽくて良い女なんだ。
モーションをかけているのだが、中々靡いてくれない。
まぁ、その内、抱いてやるがな。ケヘヘ。
「よぉし。今日も絶好調じゃねぇか!」
「うむ。やはり僕たちは最高の仲間だね」
「気持ちいいわ。チンカス片井がいなくなって伸び伸びできる感じね」
チンカスとかウケる!
「
「あ、ウケちゃった? チンカス片井」
「ギャハハ!」
「ちょ。
俺たちはダンジョンの奥へと進むことにした。
すると、
「きゃああッ!!」
突然。
「おいおい。なにやってんだよぉ。メガファイヤー!!」
俺はフォローを入れた。
「ったく。おい青野原。回復してやってくれ」
「やれやれ。めずらしいですね。
「う、うっさいわね。ちょっと油断しただけよ!」
弘法にも筆の誤りか。
まぁ、いいさ。
俺たちは足を進めた。
すると、
「うわっ!!」
今度は青野原がダメージを受ける。
何!?
なぜだ!?
う!
「うわぁあああ!!」
俺までもがダメージを受ける。
「クソがぁああ!!」
こうなったら、俺の最強技だ。
炎の魔法を剣に宿らせて、
「ファイヤーソード!!」
なんとか敵を殲滅する。
「はぁ……はぁ……」
おかしいぜ。
「なんかここの敵が強くないか?」
俺の問いかけに2人は黙り込んだ。
「赤木。ここはA級のダンジョンですよね?」
「勿論だぜ。いつも攻略してるダンジョンじゃねぇか」
「にしてはおかしいじゃないか。妙に敵が強すぎるわよ」
確かに……。
ここはダンジョンの中層部に差し掛かった所。
こんな場所で苦戦するなんてありえないのに……。
「……なんか。敵の攻撃が通るのよねぇ……」
おかしいな。
雑魚モンスターのはずなのだが……。
今日は調子が悪いのかな?
だったら引き返すという手もあるのだが。
コメント欄は荒れていた。
『なんか今日、調子悪くない?』
『女王さまの無双が見たいのですが……』
『迅平ファイトーー』
『俊様。がんばってーー』
『もしかして上級ダンジョンに入っちゃったとか?』
『苦戦する
『無双を期待してるのだが?』
『なんか、つまんね』
ちっ!
いつもより視聴者数が落ちてるじゃないか。
「す、進むぞ!!」
こんな所で引き返せるか!
名誉挽回だ。
「いいか2人とも。次は全力で行くからな。油断するなよ!」
しかし、
バキィイイイッ!!
俺は敵の攻撃を受けて吹っ飛んだ。
「ぬぁあああッ!!」
くぅうう!!
なぜだ!?
まだ、序盤だというのにぃい。
敵が明らかに強いぞ?
いつもならこんなところで苦戦なんかしないのに!?
とにかく今日は調子が悪い。
「て、撤退だ!!」
ったくやってられねぇぜ!!
俺たちはダンジョンを出た。
「もうオフ会に行こうぜ」
「ぼ、僕はパスするよ」
「
「はぁ? ったく。んじゃ俺が一人占めしちまうからな」
へへへ。
探索は不調だったがオフ会は最高かもな。
いつも可愛い子が数人来てるから、その子を青野原と獲り合いになるんだ。
そして、オフ会の集合場所。
そこには3人の男女しかいなかった。
男2人に女1人。
少なっ!
いつもなら20人は超えてんのによ!
探索が格好悪いとこうもファンが減るのか……。
男は明らかに
女はとんでもない陰キャである。
「や、
「お、俺氏も女王様に会いに来たのだが? 女王はいずこか? きょろきょろ」
「俊様はいないのでしょうか? 私……。心配で……」
は、ははは……。
まぁ、いいか。
こんな奴らでもファンはファンだしな。
「す、すまねぇな。2人は疲れて帰っちまった。だから俺と一緒に飲まねぇか?」
今日はもう飲みたい気分なんだ。
おまえらの金でただ酒を飲みまくってやるぜ!
んで、酒に酔わした後はこの陰キャ女を抱いてやる。暗くしてれば顔なんか見えないしな。光栄に思えよな。俺が抱いてやるんだからな!
「あ、いや。僕は
「拙者も帰るなりよ」
「私も。俊様に会えないのなら帰ります」
なんなんだよぉお!!
ふざけんなぁああああ!!
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