第7話もう、貧血

彼は鼻血をカーペットにボタボタと落とした。ティッシュペーパーを鼻の穴に突っ込み、おでこに冷えピタを貼った。

それでも、勃起していた。

若い女の子は、

「先輩、鼻血流しながら勃起してるなんて、不死鳥みたいでカッコいいですね?」

彼はちょっと間をとり、

「ん?君はバカだったのか?」

「わたし、先輩の言うことなら何でも聞きます。帰宅とエロい事以外なら」

彼は考えて、

「月曜日のプレゼンの資料の誤字脱字を確認して欲しい」

「先輩、バカなの?酔っ払ったわたしが出来る訳ないでしょ?もっと簡単なこと」

「……キス?」

「……ごめんなさい。歯槽膿漏の方とのキスはちょっと……」

「じゃ、僕は鼻血が止まったら、ベッドで寝る。君はカーペットの上で寝てくれ、それかソファーの上で」

彼女は意地悪な目で、

「今夜は、わたし先輩と一緒に寝ます」

彼はドキドキしながら、

「ぼ、僕はイビキ酷いし、息臭いよ!」

「じゃ、先輩がソファーで寝て下さい。わたしは不眠症なので、ぐっすり眠れるベッドお願いします」

彼はしょうがなく、

「君はベッドで寝なさい。僕はソファーを倒してベッドにして寝るから」

「ありがとうございます。もう、鼻血も勃起も治まったみたいですね」

「う、うん」

明かり消していいですか?と彼に聞き、彼女は明かりを消した。

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