鬱々と狂。

錦木れるむ

第0話 生存権、お返しします。

 学校が嫌いだ。たった一つの価値も、生き甲斐さえもないボクにとって、学校という環境は常に苦痛を伴う物でしかなかった。

 ずっとずっと苦痛で、ずっとずっと曇っていた。


 陰キャでも陽キャでもない、無キャ。それがボク。

 勉強も運動も平均。趣味もない。学校に行っていなければただのヒキニートみたいな暮らし。それがボク。


 (あぁ、壊れないかなぁ……)


 毎日窓の外を見ながら、こんな日常が壊れる事を願っていた。自分から動く力もないボクにそんな事ができるはずもないのに。ボクに生きる価値なんてない。


 ある日死のうと思った。

 突発的な感情だったはずなのに、考えてみるとずっと前からこうしようと思っていた事に気がついた。


 その日からボクは毎日死のうとしている。



 §



 今日は海。


 家に帰るのと同じ要領で学校から海へと向かう。

 

 制服のまま、入水した。


 意識も体みたいに沈む。

 重く深く。

 どこまでも。


 



〜〜


 不定期更新です。

 

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