義母に家を追放されたら幼馴染に戻った元義妹に迫られる~『家族じゃないんだから、本気を出してもいいわよね?』じゃないんだよ・・・

addict

プロローグ

「出ていきなさい」




夕飯の最中、突然、母に告げられた。僕は何を言われているのかわからなくて聞き返した。




「どうして・・・?」


「どうしてって?」




ハンと鼻を鳴らして、僕を馬鹿にしたように言ってきた。




「あんたが私と血が繋がっていないからよ!」


「そ、それは」


「血が繋がっていないのにあんたを育てるなんてもうたくさん!!武雄さんが死んでからもう2年!あんたのことを息子だと思ったことなんて一度もない!」


「っ」




僕は義母に家族扱いされていないということにはなんとなくだが気づいていた。それでも、今捨てられて、路頭に迷いたいわけではない。だから、自分がこの家で必要だということをアピールした。




「でも、家事全般はそうだけど、勉強だって頑張って、沙紀と同じところに入ったじゃないか・・・」




すると、先ほどと同様に僕を見下したような目で見てきた。




「家事なんて誰だってできるでしょ?もう少しましなことを言いなさい。それにー」




義母さんは隣で黙々と僕が作ったご飯を食べている義妹を見てから、僕の方を見る。そして、




「勉強だって、沙紀は特待生で学費が免除なのに、あんたは学費がかかっているのよ?どっちの方が家族に貢献しているのかは明白でしょう?」


「そ、そうだけど・・・」




僕は特待生になれなかった。それで義母さんに負担をかけていることに申しわけなさを感じていた。だから、家事を頑張って少しでも家族に貢献したいと思っていた。だけど、その程度のこと誰だってできるし、当たり前のものだと思われていたらしい。少しは感謝されるものだと思っていたんだけどなぁ・・・


そして、




「後はあんたがダサすぎるのよ。武雄さんはカッコよかったのに、あんたは全然似てないわね。母親の方が不細工だったのかしら(笑)?」


「母さんのことを悪く言うのはやめてください!」




僕は机をバンとたたいて、前言撤回させようとする。自分を犠牲にして産んでくれた母さんを馬鹿にされるのだけは許せなかった。すると、義母さんはさっきまでの馬鹿にしたような表情から感情をなくして能面のような表情に変化した。




「ほら?あんたにとって義母わたしよりも実母が大事なんでしょ?ならさっさと出ていきなさい。最後の情けで家だけは借りておいてあげたから。それとあんたの所持品は明日すべて持っていきなさい。目障りだから」


「・・・はい」




有無を言わせない圧力に僕は頷くしかなかった。


こうして高校一年生の最後の春休み。僕は突然家を追放されることになった。

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