第19話 粛清
「ロア君。大丈夫?部屋まで歩けるかな」
「大丈夫だよ。もう治ってから結構経ったんだから部屋まで行くくらいなんともないから。それよりも毎日送り迎えしてくれてありがとう。リリアおねえちゃん。ミア。アリア」
「ッ!!いいんだよぉ。お姉ちゃんがロア君のことを送り迎えするのは当たり前のことでしょ?それくらいで感謝しなくてもいいの。でも、こちらこそありがとうね」
「私がロアのことを送り迎えするのは当たり前だよ。これから先もずっと」
「ロア様はそのような些細なことに気を使わなくてもよろしいのですよ?至極当然のことをしたまでですから。ですが、やはりロア様は天使様なのですね。私のような下民にも感謝を伝えてくださるなんて」
僕が感謝を伝えるだけで彼女たちは頬を赤くし、身をくねらせ澱んだ目でそんなことを言う。こんな関係になってしまうのは仕方のないことなのかもしれないが、彼女たちがこれから先、前のようにとまではいかないものの戻ってくれることを願う。
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ここから先は汚い表現やキツイ表現がなされているためそういうものが大丈夫な人は読み進めてください。読みたい人向けですので。
これはあくまでも粛清の一例です。 かにくい
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彼女たちは無事にロアを送り届けた後、クロエの屋敷を後にする。
「それで、今日の粛清対象者は?」
「えぇ、その件についてはもう対象者は捕獲しており粛清部屋に磔にしていますので」
「それにしてもよく懲りないね。三大貴族なんて言われている私が言うのもなんだけれど、貴族って本当にどうしようもなくプライドが高いというか、自分が一番じゃないといけないんだろうね。一番はぜぇーんぶロア君のものなのに。その席はゴミムシ君が座っちゃダメなのにね」
彼女たちは平然とした顔でそんなことを言ってのける。誰もその場で口を挟んだり疑問に思ったりする者はいない。それが彼女たちであるから。
ミアは、平民であるのにもかかわらず貴族を平気で殺す気でいる。国からのバツがあろうが貴族からの反撃があろうが彼女はまったくもって気にしていない。そもそも粛清された貴族や生徒は他言したら殺される契約を科しているため外に漏れることなどないのだが。
アリアも、聖女と呼ばれているのが本当なのか疑わしいほどロアには見えない場所でロアに対して悪口を言った者、ロアに対して反抗的な態度をとる者、其の他ロアに危害を加えそうな者は二度と立ち直れないほどの恐怖で支配している。
リリアは、三大貴族であるためその家の力を使い貴族を潰してしまおうかなんて考えていたが、やりすぎてしまうとロアが心配してしまい、お姉ちゃんと呼んでもらえなくなってしまうかもしれないという理由から致し方なく裏で貴族を念入りに指導している。
三人はドス黒い濁った眼をしながら歩を進め、寂れた教会の地下深くへと降りていく。降りていくにつれ、ジメジメとした暗い雰囲気になり、ツンっと鼻を刺すような異臭がする。
扉を開けるとより異臭が濃くなった。それもそのはずで床や壁が赤黒い血で染まっており、人間の足や手、目玉などがそこかしこに転がっていた。
止血はされているものの両足首から切断され歩けない状態にされたまま手を鎖で固定された子爵家の人間であった。ポタポタと尿を垂れ流しており、目からは涙を流しておりその顔は恐怖で染まっている。
その他にも気を失っている女生徒もいるが、指を切り落とされた痛みなのか気絶をしていた。
「それで、今日はこのお馬鹿さんがロア君の悪口を言っていたのかなぁー?」
「そうですね。この男。そしてこの婚約者の女も一緒になって言っていたようです」
「へぇ、そうなんだ。私、ロア君のことを侮辱するのはどうしても許せないんだよねー」
「ロアを馬鹿にするんだから、分かってるよね?」
リリアはニコニコと男子生徒へと近づき手短にあったナイフを持ち頬へとそのナイフを薄く当てた。頬から血が流れ更に男は絶望する。
ミアも風魔法を展開させ、リリアとは違い完全に怒りの形相をしていた。
アリアはというと
「起きないさい、雌犬。でないとでないと今ここであなたを殺しますよ」
婚約者であるだろう女生徒の足の指をへし折り、強制的に起こす。大絶叫が響き渡り女は飛び起きるが状況を理解し、目の前の光景を直視した瞬間、嘔吐し股から尿を垂れ流した。
アリアは聖女らしからぬ舌打ちと汚物を見るような眼を向け、髪を乱暴に掴み女の顔を強引に婚約者の方へと向かせた。
「今からたっぷりその目に焼き付けてくださいね。その次はあなたですから」
「いや、いや、いや、嫌ぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
ミアが風魔法で男の制服ごと腹を切った。中から臓物がボタボタと垂れ流され耐え難いほどの痛みに男が絶叫するが、寸でのところでアリアが聖女の力を遺憾なく発揮し一命を取り留める。
「こんな男に子孫が生まれてしまうことはこの先、不利益になりかねませんね」
「そうだねー。だから、こんなものチョッキンしちゃおうね」
そう言って鋭利なナイフを男の男性器目掛けて振り下ろした。
見るに堪えない目の前の光景に女は絶望し、目から止めどなく涙が溢れ、尿どころか糞まで漏らしてしまう。
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も。
繰り返される惨劇。
転がる手足、臓物、その他諸々。部屋はより赤黒く染まっていく。
彼女たちは嬉々として男と女を嬲った。すべては愛しのロアの為。ロアに盾突く馬鹿を無くすため。ロアが何事もなく過ごすため。ロアがストレスを感じない学校生活にするため。
すべてはロアの為。
彼女たちの粛清は続いた。二度とロアへと歯向かうことが無くなるまで徹底的に。
「ロア」
「ロア様」
「ロア君」
「「「「愛してる」」」」
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