第5話 王子くんは甘くて優しい
目の前で、
そうだよね、お菓子の試食に呼んだだけなのに、突然泣き出すんだから。
けど、彼の優しい言葉に、抑えていたものがブワッと溢れてしまったんだ。
「
「ううん、違うの……」
「学校とか、部活で……何かあった?」
「うん……実は、
「
私はティッシュで顔を拭いて、お茶を一口飲んでから、今日起きた出来事を話した。
数時間前。体育館では、バスケ部のミーティングか行われていた。
「全員、一旦集合!」
「「はい!」」
「来月の全中地区大会のメンバーを発表します」
「まずはレギュラーね。三年は
控え含めてメンバーと補欠数名の名前が呼ばれた。
最後まで、
「あさひすごいね!」
「同じ一年とは思えないくらい上手いもんね。おめでとう!」
「ありがとう……」
同じ学年のみんなが声をかけてくれる中、
「では、今からレギュラーメンバーは集まって練習を開始します。他のメンバーはいつものメニューで練習を再開してください」
「「はい!」」
そのまま、
バスで帰る
「あ、
「メンバーに選ばれたのに、他人の世話してていいの?」
そう言う
「大丈夫、練習も今まで以上にがんばるよ!」
「ふうん……」
ただ、励まそうと。そう思って口にした一言が、
「
「簡単に、言わないでよ……」
「え?」
立ち止まった
「がんばってるよ、私だって! あさひなんてちょっと背が高いだけじゃん! なのにそんなふうに上から余裕ぶるのやめてよ!」
「
「
「
「私、
「わかりました……」
そして、
「っていうふうに、
全部話し終わって、お茶を一口飲んだ。
話している間、
「う〜ん、これは
「でも、きっと気に触る言い方だったんだと思う。
「俺はあまり
「そう……かな?」
顔を上げると、
彼は私の頭に手を乗せて、軽く撫でてから「大丈夫」と言った。
それを聞いていると、私は本当に大丈夫な気がして、沈んでいた心が少し軽くなったんだ。
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