叙情の陰り

@mizukawas

第1話 ①

 西の方角へと、大地に溶けていく太陽によって、橙色に輝く空が地上の一切を照らしていた。


 くたびれた公園にいた二つの人影。そのうちの一人は、公園と同じようにどこかくたびれた六十代の初老の男であり、錆びた遊具を見るかのような虚ろな眼差しでどこを見ているのか分からないようだった。


 もう一人は、七、八歳の幼い男の子。好奇心からか、その初老の男をじっと見つめていた。


 初老の男は、左ポケットから手の平より少し大きな酷く黒みがかった煙水晶を取り出した。男の子の純粋な瞳は、その水晶に注がれる。


 初老の男は、煙水晶を半歩前に置き、右ポケットからライターを取り出し、小さく灯る火を水晶にあてた。

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