ソルベ:お口直し、そしてもふもふ

 怖がりのくせに怖いものが好きである。

 実生活では血を見るだけで気分が悪くなるくせに、スプラッタ好きである。

 装甲強化したバスで脱出する際に、取り付くゾンビを薙ぎ払うために窓に設置したチェーンソー、そいつが外れて中で阿鼻叫喚とかいう場面でヒャッハーとか歓喜の叫びをあげてドン引きされるくらいにだめなやつである。

 

 そのような私であっても読んでいてなかなかしんどいものがある。

 たとえば、小説ならばケッチャム、マンガであれば『殺し屋1』、これらは劇薬みたいなものだ。

 勧めてくれた年下の友人は「俺、これで人間性を疑われました」と言っていたが、たしかにそのとおりだろう。これを勧める君はまごうことなき変態だし、それを読了した私もあいつも変態だ。

 それにしても、これらの本はなかなか読みましたと公言しづらい。『殺し屋1』全巻、『隣の家の少女』と『オフシーズン』、『S&Mスナイパー』、どれならば本棚に並べた状態で異性を部屋に招くことができるかという議題で変態たちはひとしきり議論したぐらいだ。

 その議論は「う○こ味のカレーかカレー味のう○こ、どちらなら食えるか」といった議論と同じくらいに白熱したのをおぼえている。


 話が下の方にそれてしまった。


 かようにエログロ大好きな私であるが、同時に可愛いもの好きでもある。お口直しをするかのようにこちらも楽しむ。

 犬派で実際に飼育していたりするのに飽き足らず、犬の写真集とかカレンダーとかを買ってしまう。こっそり犬ポルノ(可愛らしい犬が活躍する映画の類。なお、出てくる犬は異世界無双系物語の勇者よりも無敵でなくてはならない)を鑑賞していたりもする。


 そんな私の最近の疑問は「もふもふ」である。

 犬や猫等の被毛のやわらかくふわふわしたものを示す言葉であることはわかっている。

 しかし、ドッグランなどで気のいい子たちに浮気をしても、その毛がやわらかくふわふわしていることはほぼない。

 どんなに愛情をそそれがれているとおぼしき子であっても、たいていはごわごわしているかつるつるすべすべである。

 もふもふ界の山岡士郎のような人が現れて、「明日来てください。ほんとうのもふもふを触らせますよ」といってくれないかと思う今日このごろである。

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