運命の出会い
運命的な出会いというのは、長い人生のうちに何回くらいあるのだろう?勿論個人差はあるのだろうが、それでもどんなに多くたって数える程度しかないハズだ。そしてつい先日。私は運命の出会いというヤツに遭遇してしまったらしいのです。
遡ること数日前。仕事の帰り道に私は近所のホームセンターへと足を運んでいた。これといった目的は無かったのだが、快適な休日を送るのに何か良いものは無いものかと、ふと立ち寄ったのだ。フカフカなクッションに、絶妙な角度のリクライニングチェア。魅力的な商品が並ぶ中、私は彼に出会ってしまったのだ。
「ふ、ふ、ふおぉーー!!」
周囲を寄せ付けないトゲトゲしい外見と、それとは対極的な丸みをおびたフォルム。可愛らしい小さな鉢にちょこんと収まっているミニサボテンの彼は、まるで私に語りかけるかのようにこちらを見ていた……と、思う。
(い、い、癒されそう!!)
雷にでも打たれたような衝撃。気が付くと私は、そのミニサボテンを購入し自宅へと持ち帰っていた。……そして、日曜日に至る。
「うふふ~。可愛いなぁ、
サボテンの手入れというのは基本的には簡単なものである。まさに私のようなズボラな人種の為の観葉植物といっても過言ではない。……よね?
そして迎えた今週の日曜日。私は二度寝から起きると、窓際に置かれた五十六をチラリと見る。
「……むふふふ」
我が家に可愛らしいサボテンがいる。その事実に自然と顔も綻んでしまう。なんというか、こう……部屋全体が潤う感じがしますよね?乾燥地域の植物なのでその表現が正しいかはさておき。
いつもと変わらない遅めの朝食。いつもと変わらない暇潰し。いつもと変わらないゴロゴロ生活。だが、いつもと違い私の視界にはチラチラと五十六が現れる。ただそれだけで、いつもより回復力が二割増しな気がしてきた。いや、気がするだけなんだけどさ。
「次はどんな子をお迎えしようかな~……いや!いやいやいや!」
一つでこんなに癒されるのだから、二つならもっと……なんて安易な考えを持ったが、すぐさま頭を横に振った。
(いくらサボテンは手がかからないっていっても、数を増やしたら面倒をみきれなくなる。私はそういう女だ!)
自己分析は正確に。自らが怠け者だと認めることで拓ける道だってあるのだ。なので私のこの愛は、一先ず五十六だけに注ぐとしよう。
しかし、しかしだ。サボテン一つで休日の充実感はこんなにも変わる。で、あるならば。皆さんも運命の出会いというものを大事にしてもらいたい。サボテンに限らず、こう……ビビっと来た物は意外と自分に必要な物だったりするんですから。人間の直感というのは案外馬鹿にできないものだ。
そうやって、運命の糸を辿っていった先には素敵な休日が待っている。……のかもしれない。ま、信じるか信じないかは個人に委ねるって感じで。ええ、はい。因みに私は今週も幸せです。
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