第5話 エンター騎士練兵場

 ゴーレム車は、エンター侯爵家の宮殿を目指して進みます。

「カンミ?ここは?」

 宮殿を目指して進んでいたゴーレム車は、進路を左に取り兵舎がつらなる駐車場に停まりました。

「近衛兵と騎士の宿舎です、ここの練兵場を借りてビオラと戦います」

「危ない事はしないでよ!」


「私もビオラもアラン様の眷族で不死身にして頂いて居ります、本気で殺し合いしても死にませんよ」

「不死身でも怪我とか手足が潰れたら動くのに不便になるよ」

「手足が欠損しても、エナジードレンで再生しますよ!」

「再生?するの?」

「はい!以前指を切り落とし再生してみました、可能性を探る為色々やっています」

「これからはそんな危険な事しないで!お願い」

「試す事は一通りやり終えました、もういたしませんご安心下さい」

 結局危ない事一通りやってるのか、カンミとじっくり話し合う必要があるな。


 僕達は話ながら練兵場に入って行きました。

「暫く訓練は中止!場を空けよ!!」

 大勢の騎士達が一斉にこっちを見て「カンミ様!了解しました!訓練中止!!全員速やかに撤収!!」

 隊長らしき男が号令を掛けると、あっと言う間に練兵場は無人になりました。


 無人になると物凄く広い、これだけ広い練兵場を埋め尽くしていた騎士達、いったい何人居たのでしょう?


 広い練兵場の中央にカンミとビオラが対陣たいじしてます。

「ビオラ!掛かって来なさい!」

 カンミが声をあげた瞬間ビオラの姿が欠き消え、ガキーンと金属音が響きました。

 ビオラがカンミを殴った様です。

 二人共に身体を硬く変えて戦って居る様で、殴り合う音は金属を叩く様に響きます。

 ビオラは戦い方を知らない人間でした、エンペラーバンパイアの身体能力で殴って居るだけ、上手くあしらっていたカンミに取り押さえられ、組伏せられて終了です。


「ビオラ!これから毎日戦い方を指導します」

「カンミ様!宜しくお願いします!!」


 僕はオドオドしてたビオラが、普通に戦えた事が不思議でしたが、バンパイアになって意識も少し変わったのかと納得しました。

 激しい殴り合いに見えたのに、二人が全くの無傷だったのはカンミの戦闘能力が遥かに上間うわまっていたからでしょう。


「カンミ様!相変わらずお見事です!そちらのお嬢さんも見事な戦いでした」

 騎士達見学してた様で、隊長が評価してます。

「カンミ様、そちらがアラン皇子ですか?」

「言葉に気を付けなさいシラノ!!何を聞いて居るか見当は着きますが、お前ごときアラン様に瞬殺されるぞ!」


「カンミ様には及びませんが、自分はエンター騎士隊の隊長、引き下がっては沽券こけんに係わります!アラン皇子お手合わせ願います」

 カンミに対しては尊敬からか慇懃いんぎんな態度、僕に対しては慇懃無礼いんぎんぶれいな態度です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る