第三部 自答

第50話 ゲームの後

 あの恐ろしいゲームがあった日から、三ヶ月が過ぎた――。


 ゲーム終了後、スオウはすぐに病院に緊急搬送され、それから十日間ずっと意識不明の状態にあった。意識が戻ったときには、ゲーム勝者の報酬である、妹の移植手術はすでに終わっていた。手術は無事に済み、妹は元気な体を取り戻した。今では昔のお返しとばかりに、スオウの面倒をいろいろとみてくれている。スオウの怪我はまだ完治していないが、あの絶望的な状態からすれば、奇跡の回復といってもよかった。


 現在、スオウが入院しているのは個室である。誰が用意してくれたのか定かではないが、入院費用は前払いで済んでいるとのことだった。こんなことが出来るのは、あの二人しかいない。


 意識が回復してからというもの、ゲームのその後のことが気になり、新聞やネットの記事を残さず読み漁った。


 ネット上では新興宗教団体がおこした儀式説、はたまた人工地震発生装置の誤作動説、果ては宇宙人の人間狩り説など、様々な奇説・珍説がおもしろおかしく披露されていた。


 しかし、スオウが調べた限り、正しい解答にたどりついたマスコミは一社もなかった。


 それも当然であろう。なにせ病院で行われていたのは、自らの命を懸けた死のゲームなのだから――。


 そう、あの日、あの場所で、常人の想像すら遠く及ばない狂気に満ちたゲームが、たしかに行われたのだ。


 スオウがどうしても知りたかったのは、自分以外に生き残りがいるかどうかということだった。


 ゲーム終了時には、重体の人間が5人いるとメールに書かれていた。その5人が助かったのかどうか知りたかった。


 しかし、その後のマスコミによる続報はなく、あれほど加熱していた報道はうそのように沈静化し、今ではネット上の一部で、ほそぼそと都市伝説ネタとして語られるだけになっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る