第6話

俺は祖母を見る。表情からしてまだ渋っているようだ。雲野という男が父の刀にふさわしいか品定めをしているように見える。

「おばあちゃん、雲野さんはパパにケンドーを教えてもらったんだよ」

そういうと、祖母は「いいわよ。あなたのものになったんだから」とだけ言った。 

雲野はとても嬉しそうな表情をしていた。

つくづく葬式に合わない人間だ。

俺はこれほど葬式で嬉しい顔をする人間を

見たことがなかった。

 雲野は俺からもらった刀を大事そうに杖に収めた。


 それからは楽しい日々が続いた。中条一家は俺を家族のように迎え入れてくれたことを俺は今でもはっきりと覚えている。特に中条武は俺にとって父親のような存在だった。

 小学校を卒業したころ祖母は安堵の表情を浮かべて他界する。七十八歳であった。

祖母の葬式は俺の意向もあって小規模に執り行われた。祖母には安らかに眠ってほしかったからだ。俺はこの時、雲野を招待したが式に現れることはなく、後からお詫びの手紙が送られてきただけだった。

 すなわち、俺と雲野は両親の葬式以降疎遠になったということだ。

その後は父の遺産と中条家の支援があって俺と修二は同じ大学に入学できた。

 修二とは今も親友で、共にサッカーのサークルに入っている。大会ではかなりいいところまでコマを進めた。

これからの出来事は俺が中条武の用意した部屋をでて、十五年ぶりに父の家で暮らすようになった後のことだ。

 俺は事件のことは闇に葬り去って、再び人生に輝きを取り戻そうとしていた。

 そんなさなか俺に一通の封筒が届く。中身は差出人不明の手紙と地図だった。


『真田優馬様へ

 私はあなたの秘密を知っている者です。それと同時に、あなたの知りたい秘密も知っております。あなたが人生をかけて追い求めている秘密を私だけが知っているのです。

 今回その秘密を優馬様にお教えいたします。ただし、そのためにはゲームに参加していただく必要があります。

 ゲーム内容については当日に詳しくご説明します。ご都合がつきましたら指定の日時に以下の場所までお越しください。

 また、大変恐縮ですが今回のゲームは招待制ですのでお一人または、ほかのお客様とお越しください。』


―――――――――

六話は短いので一時間後にもう一話投稿します。

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