波だこれ!繋がり燃ゆる熱い音 焼きつく鼓膜赤く熱持ち

 改めて、ジャズライブに行きました。


 いやぁ、凄かった。

 一番乗りで穏やかだったライブハウスに一人、また一人と予約客が入ってきて徐々に賑やかな声で満ちていく──その様子を私はカシスオレンジをちびちびと飲みながら、全体を俯瞰できる端の席で楽しんでいました。

 やがて席が埋まったとき、スッと照明が暗くなり、各席のキャンドルだけがちろちろと揺れるなか、ピアノを担当する方がマイクを持って英語混じりの日本語を紡ぐのです。

 そうして軽く自己紹介をしたあと、ついに、演奏が幕を開けます。


 一音。たった一音の始まりの旋律がズン、と腹に響く。


 それだけで心を鷲掴みにされました。

 3人の演奏者が。ピアノが。ドラムが。コントラバスが。競い争うように時に静かに、時に激しく大胆な演奏で繊細に曲を奏で、観客を自分たちの世界に引きずりこむ。

 なんでそれでこの音色が出せんの!? となるようなドラムの激しいスティック捌き。席から飛び上がるほど力強いピアノの旋律。胸の奥に深くしみるコントラバス。

 くるくるとメインの楽器が入れ替わり、全員が主役で全員が引き立て役でした。

 その切り替わりを伝えるのは全て、互いの音だけ。演奏をしている彼らはみんな目を閉じているんです。すごない?


 気づけば、体が揺れていました。酔いが回っていたのかも。いや、音楽聴いてるとわりと揺れるから素か。

 とにかく凄かったです。生演奏って初めてだったけどめっちゃ楽しめました。


 音楽を表現するとき、よく「みんなが一つになる」なんて言うけど、ジャズは逆かも。一つに通じ合っているものが互いにぶつかって自分を叫ぶんです。でも、根底には信頼がある。

 互いが互いをよく知り、元々一つなのだと強烈に伝わってくるからこそ、放たれた熱が並のものではないと肌で感じました。4時間があっという間だったもんなぁ。


 仕事中ふと行こうと思って昼休みに予約とったので、ライブに行ったのは私一人だけだったんですが、これはぜひ誰かと一緒に行って感想を言い合いたかった……!

 ぜひ行く機会があれば誰かを誘ってみてください。その時は羽織るものを忘れずにね、けっこう空調が寒いので!

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