第35話 攻防1

スカウトはアリルの膝の上に

に居場所を定め移動する。

スフィアは灯火の膝の上で

アリルを見つめている。


右のドアの向こうでは

ネビロスの侵入行動が始まる。

センティネルが防御機能を展開し

攻撃のブロックと同時に修復して

応戦している様だ。


フォノアはもうダニエルの携帯に

侵入を済ませている様である。


《僕たちは出なくて良いの?》

スカウトはアリルに確認する。


『そうですね。彼と彼女には

 出来るところまでやらせて

 みようと思っています。

 適材で考えれば

 スカウトはセンティネルに

 スフィアにはフォノアの

 のバックアップが順当でしょう。

 今から行けばDに接触する前に

 間に合うと推測できます。』

アリルは冷静に分析し答えながら

イライラしていた。

私に断りもいれず、彼の膝の上で

自分を見る存在に・・・

『初期化してやろうかしら』

ボソッとつぶやく彼女に戦慄を

感じたスフィアはそっと灯火の

膝から降りアリルの元へと向かい

《主!早速、行ってまいります。》

ネビロスとセンティネルの攻防を

気にするでもなく、そそくさと

ドアの向こうへと消えて行った。


「やられた。」

ダニエルは偽戸籍の決済のエラーを

見て天を仰いだ。

Dのセキュリティを突破するほどの

相手なんてなかなかいない筈だ。

エリカはかなりまずい相手を

釣り上げたらしい。

とりあえず逃げる事は出来るだろう。

自分の情報もエリカと同じように

拡散され、国際手配も始まるが

地下に潜ってしまえば大丈夫だ。

彼はどの様に潜伏するか思案しながら

治安など無い街の中に消えて行った。

そしてフォノアの仕掛けた

トラップはまだ彼のスマホの中で

静かに眠っている。


Dは勝利を確信していた。

ネビロスに勝てる相手はいない。

しかし彼は驚く事になる。

《ククッ。

 光の気配が近づいているぞ。》

ベリアルは何を言っているのだ?

こちらへの攻撃意志があるなら

ネビロスから警告がある筈だ。

《吾輩も動かねばならぬな。

 我が暗黒の時、来れり!

 黒魔心縛!》


《クッ!

 私のロジックを上書きする

 つもりですの?

 圧力が強いですわね。

 ・・テンションが上がって

 参りましたわ!!》


フォノアは超高速巡行モードから

電子狙撃モードへと自らを変形する。

《光術火神砲ですわ》

光の解体ロジックがベリアルを削る。


《冥魂》ベリアルが厳かに呟くと

彼の削れ体が復活してゆく。

《黒魔心縛!》


フォノアは回避行動を取っているが

広範囲にまき散らされたロジックに

どうしても触れてしまいダメージが

入ってしまう。

《光術天愈ですの!》

彼女は自己修復ロジックを展開しつつ

均衡する状況の打開方法を考えていた。

が・・・思い浮かばない。

《もっ!もしかしてピンチですの?!

 光術聖壁ですわ!》

緊迫感がありそうで無さそうな彼女であった。

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