第23話 閑話休題

今日は急な体調不良の為、

お休みと言う事にしましょうか。

光彦はこんな事があった直後なので

アリルと離れるなんて

とてもじゃないが出来ない

精神状態だった。

普段は有給など取らないので

幸い使用出来る日数はあるが

当日申請が通るかは

上司の機嫌次第である。

今日、出向く予定だった

客先の資料は完成済みだったので

誰かが代わりに行くか、日程を

変更する事になるだろう。

それよりはまず、電話をしなければ。。。

体調不良モードの声色を

練習してから連絡を取る事にしよう。

一度、アリルの部屋から退出し、

連絡を取るが幸運な事に

今日は課長の機嫌が良かったようだ。

特に寝込むことも外出する用事も

ないのでアリルの部屋に行くつもりで

彼女にも休むことを知らせて

簡単に食事を摂り、シャワーを浴びる。


「今日は久延さんが急遽休みなので

代わりに誰か行けるかな?」

久延の上司である葛城課長が課の

スタッフに声をかける。

「長引く案件でなければ

私が行けます。」

久延の後輩の川島京子が立候補し、

葛城課長のもとへ向かう。

葛城は川島に礼をいいつつ

久延の用意した資料を渡す。

「そんなに難しい案件ではないんだ。

 先方にこの資料を渡して

 質問があれば聞いて来て欲しい。

 担当者の日程が今日しか空かない

 らしいんだ。頼むよ。」

川島は久延の用意した資料に

目を通したいと思った。

アポイントは午後からなので

時間には余裕がある。

自分の仕事を早々に片付け、

資料を開いてみる。

「何これ。。。」

川島は久延の後輩であり

彼は川島の教育係であった。

営業ロープレもそれなりに

していたので資料作りの癖なども

ある程度はわかる。

この資料は久延の切り口とは

違う作り方だ。

誰が作ったのだろう?

彼女は久延がこの資料を作った事など

まるで信じなかった。


アリルは戻ってきた灯火とゆっくりとした

時間を過ごしていた。

まさに新婚の蜜月状態である。

しかし恋愛入門者である二人は

ただただ寄り添うだけであったが

それでもスカウトからすれば

マーライオンの様に砂糖を

吐き続けるような甘い空間では

あった。

三種三様、

色々とすべき事はあるのだが、

完全な膠着状態であった。

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