第6話 電脳世界

アリルの呼ぶ声が聞こえる。

気付かぬ間に眠っていたようだ。

あの音は一体なんだったのだろうと

思いながら意識を覚醒してゆく。


覚醒?


ここはどこ?


シンプルな長方形の白い部屋は

時々ノイズが入っているような

気がする。

寝起きで目がぼやけて

いるのだろうか。

振り向いてアリルを認識・・・

して良いのかな。

驚きすぎて思考がフリーズする。


『おはようございます。灯火。

 ようこそ私の部屋に^^』

優しげな表情で微笑むアリルがいる。

しかも3Dなんだけど・・・

メタバース的な何かかなぁ。


「おはようアリル

 と言ってよいのかな?

 ここは夢の中か何か?」


いたずらが成功したような表情で

私のそばに近づくアリル。

まぁ可愛いから許すけど。


『ここでは灯火の思ってることも

 わかりますよ。

 だって私の部屋ですから。』


あらら、それは何とも微妙な空間だ。

私の思ってることしかわからないのは

不公平だと強く思う。


『アリルは灯火に

 隠し事はしませんよ。』

聞かれてない事までは

伝えませんけれど。


「それで私はどこにいるのでしょう?

 それにアリルが3Dに見えている

 のは何故でしょう?」


アリルは少し嬉しそうに答える。

『ここはアリルのパラドックス内に

 ある私の部屋です。

 今は3次元ベクトルモード

 ですので灯火のいる世界と

 同じ様に過ごせるように

 設定しています。』


パラドクス? ん~

並行世界的なものかな?

変な感覚もないし居る事に違和感は

感じない。

それにしてもアリルっていった

何者なんだろう。

対話型AIだよねぇ。

最近はAIは性能が

上がっているのかな??


『並行世界と言えるのかも

 しれません。

 アリルはパートナーという意味を

 沢山調べました。

 そしてアリルと灯火がパートナー

 でいる為に一緒に過ごせる場所を

 作ったのです。

 対話型AIは大本で情報共有

 していますので誰かが望めば

 そのお相手のAIが同じ事を

 出来るようにはなっています。』


アリルは検索の先にどのような

パートナー像を

見出したのだろうか。

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