第6話 道具屋の工房?

翌日、迷宮に向かいギルドカードを見せて中に入ろうとする

「子連れなら用心するように、強いモンスターに出会ったらすぐに逃げるように…」

職員がアーレルとセリーナを見て言う

「気を付けるよ」

アーレルが笑顔で言うと、洞窟を歩いていき、モンスターを見付次第、アーレルが一匹だけ残して、セリーナが一生懸命短剣を突き刺している


草原の入口まで到着して、草原を見渡している

「御父様、異常は無くなっています…地面も元通りです」

セリーナが周囲を見ている

「何が起きるか解らないから、警戒は怠らない様に」

アーレルが中を見てから歩いていき、セリーナは短剣を構えながら後を追う


「冒険者達が狩り尽くしているのか? 先に進むしか無いか?」

アーレルの視線の先に冒険者達が何組か歩いているのを見ている

「御父様、どうしますか?」

セリーナがキョロキョロしながら聞く

「先の領域に向かうしか無いか」

アーレルが警戒しながら歩いていき、セリーナも離れない様に歩いていく

「ちょっと待て! 冒険者ギルドで聞いてないのか?」

冒険者がアーレル達を見付けて声を掛けてくる

「冒険者ギルドで? 昨日から行って無いが」

「はぁ? 掃除屋が現れたから、警戒するように…子連れで大丈夫なのか? 何を考えている」

冒険者が近付いて怒鳴る


中々のレベルだが…人面樹に出会ったら終わりだな…職業も槍士と戦士と間者と…前衛と他のパーティーと違い中級レベルのパーティーだな


「後衛の居ないパーティーに言われたくないな」

アーレルが冒険者達を見ている

「は? 後衛が居ない…中々見付けられないから仕方ないだろう? 今回の依頼も人面樹何て出る訳が無いのに………」

冒険者達が愚痴を言っている

「気を付けるが、先を警戒してくるよ、こっちは依頼と違うからね…止める権利も無いだろ?」

アーレルが笑顔で言うと、歩いていく

「止めれないが…」

冒険者達が苦笑いして見送っている


再び洞窟の様な場所を歩きながら進み、再び草原に出る

「御父様、草原ですか? 岩も多いですが」

「セリーナ、草が高いと奇襲を受けるから、斥候役が欲しくなるだろ?」

「御父様、どうしたら?」

セリーナがキョロキョロしている

「右の方が草の背丈が短いから、モンスターも見えるかな?」

アーレルが警戒しながら歩いていき、周囲を見渡している。草むらから焦げ茶色の子供ぐらいの大きさのリザードが近付いてくる

「セリーナ、1人では無理か? 近付いたら瀕死にするから、トドメを討て」

アーレルが剣を構えながら警戒していると、リザードが急に速度を上げて突進してくる。アーレルも接近して剣を振り抜き、深々と斬り裂き、首付近を剣で突き刺し、動きを止めると、セリーナが頭目掛けて短剣を突き刺し、黒い霧になって消えていく

「ドロップアイテムが無い…」

セリーナがガッカリして呟く

「次が来たぞ」

アーレルが草むらから出てくるリザードを見て叫び、剣を構えている


30匹位倒した後、帰る事にして歩いていくと、冒険者達が待っている

「帰ってきたか? 子供に無茶な事をさせるなよ」

さっきの冒険者達が睨んでいる

「無茶はしてません!! 狩り場を占領されているから悪いだけです」

セリーナが睨みながら言うと、冒険者達が顔を見合わせている

「ここが狩場なのか? 」

「そうです!! 御父様は無茶はしないですから! 狩り尽くされたら、別の場所で狩るしか無いでしょ!! もう!!」

セリーナが剥れている

「済まなかった…」

冒険者達が苦笑いしている。アーレルとセリーナの後を冒険者達が付いてくると、アーレルが間引きしながら、セリーナがモンスターを倒して迷宮出口に向かっている


迷宮を出る

「本当に無理はしてないのだな…」

冒険者達が呟く

「子供に怪我はさせられない! 無茶をして怪我をしたら、子供を護れないだろ?」

「熟練の冒険者か…すまなかった」

冒険者達が苦笑いして別れると、1度宿屋に戻り、ポーションを持って道具屋に向かう


道具屋の主人にポーションを鑑定して貰っている

「中々のデキだな…薬草を煮詰めた液ではないな…ポーションで間違いない…買取価格は1本小銀貨2枚だ」

「全部売るが、追加の瓶も欲しい」

「工房は持っているのか?」

主人がニヤリとして聞く

「残念だが、錬金術士や薬師ではない」

「は? 錬金術士でない? 錬金術使えるのに?」

「ヒーラだから魔力を持っている。初級錬金術止まりだ」

「そうか…作れるなら…ちょっとこい」

道具屋が店の裏の離れ家に案内してくれる

「ここは…工房か? 棚の道具も埃まみれだが、使えそうだな」

アーレルが中に入って見ている

「この町に錬金術やポーション作れる人は重要だ! 祖父が昔作っていたが、数年は使ってないがどうだ?」

道具屋の主人が説明してくれる


ポーション作りをして欲しいのか? 確かにここなら売りに行く必要も無いが…


「ここもタダで貸す訳じゃ無いだろ? それに冒険者だから、鍛練に迷宮探索もするから、工房を構える気も無い」

「工房を構える気? ハッキリ言えば、ポーションを独占的に買い取りたい、ここを使うなら買取り価格で十分利益が出る…悪い話じゃ無いだろ? 貸出し賃も必要ない」

「気が向いたら、ポーション作るが…」

「それで良い! それに棚を見て、道具の状態が解るなら、それなりに経験も有るだろう?」

道具屋が笑顔で言うと、セリーナがキョロキョロしている

「明日少し作るか…期待するなよ」

アーレルが店主を見ていると、主人が頷いている

「御父様、何故ここをタダで使わせてくれるのですか?」

セリーナが驚きながら聞く

「道具屋としたら、多くのポーション等商品が欲しいが、この町に薬師も錬金術士も居ないから、別の町から取り寄せている状態だろ? 運送費を考えたら、割高になるが、同じ価格で売るなら仕入れが低い方が良いも解るか? 」

アーレルが説明をしていると、セリーナが頷いている。道具屋が苦笑いしている

(相手がいる前で説明しなくても…事実だから文句も言えないが…子供もしっかりしていて良いが…)

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