クラス転移をした俺は【最弱のスライム使い】になる〜弱すぎてのけ者にされたけど、俺のスライムは【最強】みたいだわ。今更、仲間に入って欲しいは草生えるよな〜

神伊 咲児

第1話 クラス転移とステータス確認

 し、信じられない……。


 床に見えるのは巨大な魔法陣。

 

 周囲を囲むのは不気味な石像の数々。


 俺たち2年B組は、どうやら異世界に転移したようだ。


 だってさ。あの青空に薄っすらと浮かび上がっているのは赤い月。それが3個もあるんだぞ。

 絶対に地球じゃないよな。


 そして眼前には光る文字が浮かび上がる。

 まるでゲームの世界みたいだな……。



【第一の試練。ステータスを確認せよ】



 な、


「なんだこれ……?」


 俺と同じように、クラスのみんなも首を傾げていた。


 俺の名前は、やわら 快人かいと

 14歳の中学2年生だ。


 その日の授業が終わって、先生が教室を出た瞬間に地震が起こった。

 凄まじい揺れだったな。

 

 で、気がついたらこの場所にいたんだ。

 教室にいた俺を含んで20人の生徒は異世界に転移したようだ。


 どこかの遺跡みたいだけどさ。

 日本じゃないのは明白だよな。

 月が3つもあるのはさることながら、地面を這う小さな虫でさえ、見たことのない発色と形状をしてるんだからな。


 そして、この文章だ。


 ステータスを確認って言われてもな。

 ラノベなんかじゃステータスを空中に表示させる展開があるけどさ。

 もしかしてあれなのか?


 クラスメートは口々に「ステータスオープン」と叫ぶ。

 すると自分のステータスを確認できた。


「うわ! 俺、剣士じゃんやった!!」

「俺、戦士ぃ」

「私は魔法使いよ!」

「ちょ、おま、ステータス高っ!」

あたしは僧侶ね」

うちは知力が高いねんな」

わたくしは槍使いですわ」


 等々。

 随分と盛り上がっているな。

 どうやらステータスの中には職業が記されているらしい。


 異世界に来て、この展開はワクワクするよな。


 よし。俺も見てみよう。ステータスオープンだ。




名前:柔 快人。


LV:1


攻撃:2


体力:5


防御:1


速度:1


知力:1


魔力:0


職業:スライム使い。




 なにぃいいい!?


「よ、弱くないか……これ?」


 魔力にいたっては0って嘘でしょ?


 他の連中のステータスをチラ見する。

 気弱で有名な女子でさえ数値は2桁を超えていた。

 勿論、魔力だって10を超えている。

 1桁台なんて俺だけじゃないだろうか。


 それに、なんだこのスライム使いって??

 スライムって最弱モンスターだよな?

 それを使うってめちゃくちゃ弱そうなんだけど?


 これはみんなに言えないパターンだぞ。

 早く消さないと……。


 そう思うが遅かった。

 不良グループの 座小崎ざこざきが俺のステータスを見てしまったのだ。


「おんやぁ〜〜? やわらぁ。おめぇ、随分と強そうなステータスしてんじゃんかよぉお」


 彼の言葉にみんなは注目する。


「「「 え、やわらは強いのか? 」」」


 そして、それが皮肉であることがわかると、失笑して離れていった。


「ぷぷ。弱ぁ。女子に負けてんじゃん」

「ちょ、可哀想でしょ」

「ねーーわーー。クソ雑魚じゃん」

「ステ低ぅう」


  座小崎ざこざきめ、余計なことを。


「ギャハハ! スライム使いとかヤバーー!! 超強そうじゃん。怖ぁああああ!! 草生えるわ! ギャハハハ!!」


 不良たちは大笑いしていた。


 無視だ。

 まだ、最弱と決まったわけじゃないからな。

 きっと、まだ未知の能力はあるはずだ。


 クラスの委員長 明智が声を張り上げた。


「みんな聞いてくれ。第一の試練を攻略するにはステータスの確認が必要だが、この職業をタップすることで確認の最終段階になるみたいなんだ」


 こいつは成績優秀でスポーツ万能。人望もあって女子にも人気が高い。

 彼の言うことには説得力と安心感があった。


「お、本当だ。タップできんじゃん」

「あ、やった試練クリアだ!」

「俺も!」

「私も!」


 どうやら、この職業名をタップすると詳細が確認できるらしい。その文章を読めば試練はクリア。クリア報酬が貰える仕組みのようだ。

 みんなは金貨と回復薬のポーションを貰って大はしゃぎだった。


 よし。

 俺も見てみよう。

 希望があるかもしれないぞ。




○スライム使い。


モンスターの中で最弱のスライムを操ることができる。




 完全に終わった。詰みだ。

 最弱って書いてるじゃないか。


【第一試練クリア。クリア報酬を獲得してください】


 鐘の音色と共に金貨が入った小袋と回復薬が出現した。


 おそらく、これを使って異世界を冒険しろということなのだろう。

 でもさ。俺はスライム使い。終わってるよ。


 再び文字が現れる。




【第二の試練。パーティーを組め】




 え?


 みんなは盛り上がっていた。


「パーティー組もうぜ」

「あ、一緒にやろーー」

「当然、俺氏と組むでござるよな」

「私も入れて〜〜」

「がはは、一緒にやろうぜぇ」

「ライーンのグループで組んだらよくね?」


 初めは盛り上がっていたものの、次第に顔が真剣になる。

 と、いうのも、この表示はタップして詳細を見ることができたからだ。



【第二の試練。パーティーを組め】


仲間選びは慎重にやろう。

パーティーはモンスターと戦うことになる。

1人でも脱落者が出れば、そのパーティーは失格となる。




 この詳細を元にみんなはパーティーを組んだ。

 20人いたクラスメートは5組のパーティーに分けられる。 

 

 勿論、俺1人を除いてだ。

 1人の脱落者で失格。脱落や失格が何を意味するのかはまだわからない。だが、この文言が効率を重視させたのである。

 ステータス最弱の俺を仲間にする余地はなかったのだ。




────


公募用作品となります。

全4話で12000文字程度。

どうぞよろしくお願いします。

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