第7話 メリーさん探検隊 Aパート

ー新宿で迷子になったあの子とその恋人の場合ー

「あ、メリーさんやっほ~」


 ジャングルの奥地。それは群馬県だった。

「グンマーネタは失礼すぎんだろ群馬県の人とか東南アジアから来た外国労働者に」

 咲子さんにモラルセンサーの役割を果たさせたところで、我々は群馬県出身のMさんと、東京・新宿からやってきたTくんに話を聞くことができた。


「そう言えばメリーさん、こないだ真理ちゃんと梅田駅へ行こうとしたら、めっちゃ迷子になりましたよ~」

「梅田やばかったね~! 大阪駅から梅田駅に行こうとしたら、路線が見つからない~って思ったら、同じところにあったんだもん」

「ホント、同じ駅なのに名前が違うとか、大阪って意味不だよな~」

「「アッハッハ~」」


「あ、これ出てくる人物全員失礼だな?」


 咲子さんにモラルセンサーの役割を以下略。


 Q.メリーさんをご存知ですか?

「メリーさん? 知ってるよ~。新宿駅で迷子になってたら助けてくれたの~」

<字幕>メリー……あいつはとんでもなく恐ろしい怪異だよ。


「おいディレクター、虚偽字幕入ってんぞ」


 咲子さんが突っ込む。なんのことやら。


「そういえば真理ちゃん、あの時どうやってメリーさんの電話から連絡する流れになったの?」

<字幕>噂じゃ、メリーから逃れた奴はいねぇって聞いたが、どう逃げたんだい。

「えー、なんかー、迷子って困ったから、公衆電話でリ〇さんの電話にかけたら、メリーさんに繋がったのー」

<字幕>簡単なことさジョニー! んなもん、マッハ3で走り抜けばいいんだよ! そうすればメリーも追いかけてこねぇさ!

「それ自動音声じゃん」

<字幕>おいおい、熱の壁で燃え尽きちまうぜ。


「なんでちょいちょい西部劇口調?」


「リ〇さんの電話じゃなくて、俺に電話すればよかったじゃん」

<字幕>で、実際どうしたんだよ。

「だってタッくんの番号覚えてないもん」

<字幕>メリーの後ろに回り続けたぜ。

「俺、リ〇ちゃん愛に負けた!?」

<字幕>あれは残像だったのか。


『まあ、今はSNSのメッセージで済ませるのですから、電話番号は覚えませんよね……』

「私、お店の人と契約する度に自分の電話番号を設定から確認してるわ」

「自分の電話番号は覚えときなよメリーさん……」






ーウー〇ーイーツを利用する社会人の場合ー

「あれ~、メリーさん。今日はウー〇ーイーツ頼んでないよね?」

「うわ、数が増えてる」


 ジャングルの奥地に進んだあと、我々はメリーさんをよく知ると言う二人に話を聞くことが出来た。

「随分文明的なジャングルの奥地だな」


 咲子さんに突っ込まれたが、大丈夫、テノチティトランだってジャングルにあったんだ。さすがみどり市。自然からショッピングモールまであるとは、まるで佐賀市のようだ。

 気を取り直して、取材することにしよう。



Q.あなたはメリーさんのことについて何を知っていますか?

「メリーさん? えーとねー、なめろうが好きだって聞いたことあるよー」

<字幕>メリーの弱点は通話料金さ。出来る限り会話を引き伸ばしてやりな。


「字幕の撃退法がせこい」

「残念ね。私は怪異お得プランを使っているから、6時から21時までならいくらかけても定額料金よ」

「怪異なのに21時までしか活動できないの???」


「なめろう……しぶいわね。酒のつまみじゃない」

「生のままでももちろん美味しいけど、焼いたのも美味しいよね!」

「いいわね。今度の週末はうちで飲み会しますか」


「あ、私もお邪魔していいかしら。タダとは言わないわ。

 ここに鍋島特別本醸造が」

「「わーい!」」

<字幕>サバトの始まりだぜ!


「あんた一応西洋人形なのにコンプラ的に大丈夫? あたしと違って見た目は幼女じゃん」

「大丈夫よ、こう見えても戦前生まれなんだから。永遠の幼女だけど」

『でもVTuberも「永遠の16歳」「少女」を名乗って酒飲みLIVEしたら、アプリ自体がアプリストアから審査引っかかったことがありましたねー』(実話)

「え……」

(BGM『トッカータとフーガ ニ短調』)


 未成年の飲酒、ダメ! 絶対!

 ……という謳い文句も、成人が十八歳になったから使えなくなったな。

 お酒は二十歳になってからです。


✧·˚⌖. ꙳✧·˚⌖. ꙳✧·˚⌖. ꙳✧·˚⌖. ꙳✧·˚⌖. ꙳✧·˚⌖. ꙳✧·˚⌖. ꙳

 この後明らかになるメリーさんの過去!

「メリーさんはな、アメリカ育ちなんだ」

 メリーさんの悲しい過去が明らかに!!

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