Project:reVive ver.1.0.1 ~リバイブ計画:仮想都市の住人たち~

ほろよん

プロローグ

とあるウェブサービスの開発室。


総勢20人ほどのスタッフが見守る中、

1人のオペレータがパソコンを操作している。


カタカタ・カタ・・タタタン・タン・・


「よし。これで・・準備出来ました!

 リリース・・しちゃいますよ?・・本当に良いんですよね!?」


見守っていたスタッフたちの中から、誰からともなくカウントダウンが始まる。


『いけーー!! さん! にぃ!! いっち!!! ごぉーー!!!!』


バシィ!!!

勢いよくEnterキーが叩かれる。


どこかのデータセンター。

薄暗い室内に並べられたサーバーのアクセスランプが一斉に激しく明滅し始める。


開発室では、Enterキーを叩かれたPCの画面に「reVive 起動確認」と表示されている。

様々なチェック項目がズラズラと表示され、それらのステータスが「確認中」から「OK」に切り替わっていく。


全ての項目が「OK」と表示された瞬間、

わぁー!!っと拍手と歓声が上がった。


『やっと解放されるぅ~~~(涙目)』

『自分、来週の今頃はハワイでまったりしてるですよ。』

『新しい時代の幕開けっすね!』

『世界がひっくり返るくらい話題になるよ!!』


「まぁまぁ、皆、落ち着いて。」

責任者らしき人物が皆をなだめて、ひとつ咳払いをして堅苦しいスピーチを始めた...。


ここは、いくつかのウェブサービスを提供している会社「ValtexNetヴァルテクスネット」の開発室。

構想から数年かけて開発したサービスが今、リリースされたところだ。


本番稼働後の動作チェックを終えたオペレータが責任者に向かって両手で大きく〇を作り、問題が無い事を伝えた。


「よぉし!それじゃ皆、お疲れの事とは思いますが、ささやかな打ち上げといきますか。

挨拶はさっき終えてるので、はい、ビールビール♪」


予め用意してあったテーブルの上から各々缶ビールを手に取る。プシュ!プシュ☆


「乾杯の音頭はやはり、開発主任の二階堂くんにお願いしようかな?」


「はい、では僭越ながら・・。えー、皆さま、本当にお疲れ様でした。最高のスタッフに恵まれて、今日この時を迎える事が出来ました。えー、長話もあれなんで、、、じゃ、掛け声はサービス名で」


缶ビール片手に軽くウィンクをして、皆の準備が出来ているのを見計らって‥


「それでは、プロジェクトの益々の発展を祈念して、リバーイブ!!」


『リバーーイブ!!!』


本番が稼働したPCの画面には、東京を模した仮想都市が映し出され、

大勢の人たちが行き交っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る