君の視界に映る僕は、どれだけ醜く見えているのだろう。

小説狸

第1話家出少年

笑いながら過ごす日々、楽しく交わる心豊かな家族。

それが当然ならば、その反対を表すのはこの僕であろう。

誰もが当然だと思っている美しい世界は、とても醜い汚れたものがあるから成り立っている。

では、僕はその綺麗な世界で生きているのではなく、汚れた醜い世界で生きているのだ。

僕はそれが嫌になった。生きていることが苦しくなった。

しかし、自殺などしても何一つ変わらないことに気づいていた。自殺とは全てを捨てるという、俗に言う、ゲームデータ消去だ。

全てのデータを消して新しく始める。

でも、そんなわけがない。

未知の物を切り開こうとするのはいいが、取り返しのつかない物は切り開かない。

だから、僕は。


高校一年の五月雨、僕はこの島を離れた。


僕は家出したんだ。でも、僕の心には不安がなく、綺麗に澄み切った自由を感じていた。

僕は東京、歌舞伎町に向かった。

フェリーに乗って行った。お金は、30万程度、

持って行った。

家出少年になったんだな、そう肌を通して感じた。

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