底辺社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が!?流行りのダンジョン配信者になるのでこんなブラック企業は辞めさせていただきます。ダンジョン配信ガチ勢の美人がプロデューサーについた俺はトップ配信者を目指す

さかいおさむ

第1章

第1話 ダンジョン配信者

 世界各地に異世界と繋がるダンジョンが現れて数十年。


 ダンジョンでモンスターを狩り、レアアイテムを得る『冒険者』という職業が人気になった。

 また、冒険をライブ配信し収益しゅうえきを得る『ダンジョン配信者』も流行り出していた。


 日本中の若者が『冒険者』や『ダンジョン配信者』に憧れ、一攫千金いっかくせんきんを狙うダンジョン大ブームが訪れていた。


 ◆


 深夜、仕事を終え帰宅するサラリーマンのいちじくアキラ 26歳。


 珍しいのは苗字だけ、どこにでもいるブラック企業サラリーマンだ。


「はぁー。疲れた……毎日こんな遅くまで嫌になるよ、まったく」


 毎日、残業だらけの模範的もはんてきブラック企業。

 いつもようにコンビニ弁当を食べながら、パソコンのスイッチを入れる。


 アキラの数少ない楽しみはダンジョン配信者のライブを見ることだ。


「さてと……今日はどの配信を見るかな?」

 ダンジョン配信アプリを開き、配信者をチェックする。


「おっ! 『まどかチャンネル』がやってるじゃないか! これにしよう!」


 『まどかチャンネル』は最近、人気急上昇中の配信者だ。

 顔出しはしていないのでルックスは不明だが、女性ということもあってファンが多い。

 もちろんアキラもファンの一人だ。


 さっそくコメント欄に書き込みをするアキラ。


 ◆コメント欄◆


【イケメンアキラ  こんばんわ! 今日も来ちゃいました! 頑張ってね(*^○^*)】


『あ、アキラさーーん! 来てくれたんですね! がんばりまーす!』


「お!! 反応くれたぞ!!」


 まどかがコメントに反応してくれたことに大興奮のアキラ。


「まどかちゃん、今日はレベル5のダンジョンか!」

 ダンジョンは難易度でレベルが分かれている。

 レベルの高いダンジョンほどレアアイテムをゲットできる確率は上がるが、当然、ダンジョン内のモンスターは強力になる。


 顔出しをしていない配信者の多くは、胸にネックレス状の小型カメラをつけて配信することが多い。


 モンスターとの戦いを臨場感りんじょうかんたっぷりに配信できるのだ。


「いけっ! そこだ! 斬れ、まどかちゃん!! ……やったーー!!」


 配信者の勝利に大興奮のアキラ。

 コメント欄にも祝福のコメントがあふれる。


 ◆コメント欄◆


【名無し まどかちゃんおめでとう!★チップ1000円】


【名無し すごい! おめでとう! 少しですがチップです!★チップ3000円】


【イケメンアキラ 泣いたよ(*^○^*) これで薬草でも買いなさい。お礼はいらないよ★チップ200円】


【名無し また来てるよアキラ……痛い奴だな……】


【名無し キモ】


『みなさん! 応援ありがとうございました! じゃあ……最後にガチャいきますね!』


 まどかはチップのお礼を言い、ガチャを回す。

 ダンジョンではボスを倒すとガチャガチャの台が現れる。

 回すとダンジョンクリアのアイテムがもらえるのだ。

 これがダンジョン配信の一番の見どころと言っても過言ではない。


『ガチャ……』


『……あぁ……どうの剣……! ハズレですね! 残念!

 また明日も配信するので見てくださいねー!』


 こうして『まどかチャンネル』の配信は終わった。


「ふぅ……今日も良い配信だったな。せんも喜んでくれてよかった」


 もっとも、人気配信者の収入はアキラのような薄給はっきゅうブラックサラリーマンの数倍だ。

 貧乏人のアキラが、裕福ゆうふくな配信者に「頑張れ」とチップする悲しい現実にアキラは気づいていない……


「あー、俺もダンジョン配信者やりてぇなぁ……まあ無理か。


 ダンジョンの入場料は安くはないし……資格もねぇし……俺、弱ぇし……」


 世界中にダンジョンが出現したといっても、数は少ない。


 それも国営ダンジョンがほとんどだ。


 国営ダンジョンはレアアイテムや鉱物こうぶつなどは国の重要な資源のため、素人が簡単に冒険者になることはできない。


 レベルの低い簡単なダンジョンはカップルのデートコースになったりと遊園地のような扱いだが、珍しいアイテムは滅多めったに出現しない。。


 もっとも、アキラには彼女などいるわけもない。


「はぁ……風呂入って寝るかな……明日も仕事だ。行きたくねぇなぁ……」


 社畜しゃちくの朝は早い。ダンジョン配信を見ながらコンビニ飯を食べ寝る。これがアキラのナイトルーティンになっている。


 風呂に入ろうと部屋を出る、その時、


『ガタガタガタッ!』


「な、なんだ!? 引き出しから音が……?」

 アキラの部屋の机から音がする。引き出しの中でなにか鳴っているようだ。

 恐る恐る引き出しを開く。


「え……?」

 引き出しの中には薄暗い空間が広がっていた。

 見覚えのあるゴツゴツとした壁、この世界とは違う異世界感。


「これは……ダンジョン……!?」


 この日から社畜アキラも運命は大きく変わり出した。




★読者様へ★

お読みいただきありがとうございます。

たくさんのフォロー、評価、励みになります!

少しでも続きが気になる! 面白い!と思って頂けたら評価★★★頂けますとたいへん嬉しいです(^^)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る