第一章 大魔王ルシファー

 数千年前天界と魔界との戦争が繰り広げられた。多くの命が消え多くの天使が堕天していった。魔界を率いている人物を見て天使達は目を見開いた。


「ルシフェル……どうして……。」

「兄上……。」


 ルシフェル…と呼ばれたその人物は神と匹敵する力を有した為に傲慢になり自らが神になるべく反乱を起こしたのだ。

 だが、神と匹敵する力を持っていようと神に勝る訳も無く戦争は直ぐに鎮圧され加担した天使や魔物達は魔界へと追放された。そして、ルシフェルと呼ばれたその彼は魔界を統べる王として魔界へ堕天させられていった。



「今じゃその魔界の王も………。」

「うおっ!この新作のキノコの庭めっちゃ美味いぞ!」

「………昔の面影すらねぇ。」


 グザファンは大きな溜息を吐きながら散らかったルシファーの部屋を片付ける。

 あの戦争から数千年が経ち最初の頃はルシファーを交え魔界でやりたい放題暴れていたが何時しかルシファーは何をするにも「怠い」「めんどい」と口にして今では人間界に赴いてはこうやってお菓子を買い漁ってはゴロゴロしながら食べているだけの生活。


「おい、ルシファー。」

「んあ?」

「お前、いい加減に王としての自覚を取り戻さねぇと上から文句言われるぞ。」

「上?」

「上だよ…。俺達の産みの親のカミサマだ。」

「んなの気にしなくて良いんだよ~。大体アイツが俺達に干渉してくるわけないだろ~?」

「あ、でも今日は上からの使者が来る日だぞ。」


 不定期ではあるが天界から使者が送られてくる。彼等は魔界の住人の手当や魔界の偵察に来るのだ。

 ルシファーは使者が来ると聞いた途端先程までの幸せそうな顔から一気に苦虫を嚙み潰した様な顔になる。


「そんな顔をするな。俺だって嫌だが我慢してるんだ…。」

「俺は会わないからそう言っといて。」

「んな事出来る訳ないだろ…。」

「そうですよ、ルシフェル…。私は貴方に会えてとても嬉しいというのに。」

「兄上!会いに来ましたよ!」

「げぇ…。」

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