嘘つきのマリオネッタ

@kisaragikanoto

第1話 今日、僕はオートマタを買った


今日僕はオートマタを買った

理由は……確か、一人暮らしをする為に買った


そう、一人暮らしの為に買ったんだ


値段は安いとは言えないが、家事全般をしてくれるのはとても助かると思った


そう思いながら、僕は目の前のオートマタを見る

作り物の様な黒く肩にかかるくらいの長い髪

感情の籠っていない作り物の様な瞳


顔立ちも整っていて、少し垂れ目ではあるが、スタンダードなタイプだった

そして、視線を下に向ける


体型に関しては可もなく不可もない


大きくもなければ、小さくもない


肌着しかつけていないのは、店からのサービスだろうか?


「……よろしいですか?」


そんな事を考えているとオートマタは僕に話しかけていたことに気づいた


「ごめん、よく聞こえなかった」

僕はそう言うとオートマタの話を聞く為に


「服を着ても良いですか?」


そう言われて、僕は慌てて頷いた


「ああ、もう着ても構わない!」

僕がそう言うとオートマタは床に脱いであった服を着はじめるとその手が止まる


「貴方も服を着てください

そんな姿を誰かに見られたら誤解されます」


そう言われて、自分が一糸纏わぬ姿であると気づく


認証の為に服を脱いだのを思い出す


認証の登録の為に身体を接触して、生体データを登録していたのだ


初めてのことで緊張して忘れていた


僕は自分の服を探そうと周囲を見ると、オートマタが袋を差し出してきた


「服は此処にあります

自分で着ることは出来ますか?」


首を傾げながら感情のない瞳が、僕を見る

「あっ当たり前だ!服くらい!」

動揺しながらも、服を着ようとしたが……その手をオートマタに掴まれる


柔らかい感触だった。

オートマタ相手にそう思ってしまう


「まだ、慣れていないので、私が手伝います」


そう考え込んでしまったせいで、反応が遅れた僕は、床に倒され……大切なとこを見られながら、服を着させられた


「初めてですので、少し時間がかかりましたが、次はちゃんと更衣出来るようにします」


初めての着替えが終わり、オートマタは僕に淡々とそう話しかけた。


「次があればな!」

僕は恥ずかしくて顔を背けながら、服を整え


「おい!オートマタ!これからどうしたらいい?」

少しぶっきらぼうに聞いた


するとオートマタは少し首を傾げると

「マリオネッタです

私をオートマタと可愛くない呼び方をしないでください」

不満が感じ取れる声と瞳で僕を見てきた


僕をそんな目で見るなんて……生意気だ

「うるさい!オートマタ!

お前がなんと言おうとオートマタだ!」


僕は強くそう言い切るが、オートマタは顔を背けている


ああ!このポンコツめ!!

「わかったよ!マリオネッタ!」

そう言うとオートマタのマリオネッタの目が嬉しそうに僕を見て


「よろしくお願いします マー君」

「なんだよマー君て!?」


あまりの呼び方に戸惑う

「愛称です。マー君の名前は可愛くないので、今後ともマー君と呼ばせていただきます」

愛称?マー君 マスターの略?

わからないが、さっきの様な圧を感じた僕は諦めることにした


これから、僕とマリオネッタの生活が始まる

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