9 ◯◯◯◯◯の◯◯◯◯◯は◯◯◯◯◯?

ヒロイン視点

「✕✕✕✕✕✕」【それは非常に重要です。それはとても大切な事柄です】

「どれですか……」


 それそれ言われてもわからない……


「✕✕✕✕✕✕」【それによってそれは、それになります。そうすることによって、あれです】

「どれなんですか……」


 こんがらがってきた……どれがどれであれがなにでそれがそれで……


「✕✕✕✕✕✕」【それはこれですか? あれですか? これですよね】

「わからないです……」


 あれがなんなのかも、これがなんなのかもわからないです……


 ……今日の会話、今のところ情報量ゼロなんだけど……大丈夫か……?

 

 いや……よくよく考えてみれば、今までの会話も情報ゼロだった気がする。会話になってなかった気がする。


「✕✕✕✕✕✕」【それは変数Yと同義です。結果としてYはあれです】

「変数Yと言われても……」


 変数Yを知らない。それも知らない。あれも知らない。なにも知らない。


「✕✕✕✕✕✕」【それが必要です。あれも必要です。それです、それそれ】


 ダンスでも踊っているのだろうか……ソレソレとリズムを取っているのだろうか……


「そ、それって……なんですか?」

「✕✕✕✕✕✕」【それはそれです。それはどれですか?】

「私に聞かれても……」


 脳が混乱してきた。あれこれそれどれ……どれが何?


 というか……なんで彼は顔を赤くしているんだ? この抽象的な会話のどこに、赤面する場面が?


「✕✕✕✕✕✕……」【あれは……! まさか……あれは!】


 黒幕でも見つけたのか……衝撃の事実に気づいてしまったのか。


「✕✕✕✕✕✕」【それ】

「どれ?」

「✕✕✕✕✕✕」【これです。これですよ】

「これと言われても……」

「✕✕✕✕✕✕」【あれですか?】 


 ダメだ……この会話、これ以上情報量が増えない……ずっとこのまま進むやつだ……


 ……


 ……まぁ、それくらいのほうが気が楽だ。


 それにしても、この抽象的な会話は……彼視点だと、どんな会話になっているのだろう。

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