第11話 夜桜沙耶華とリアル展開!?

漫画部の掛け持ち顧問の童顔先生こと


【永町正紀】先生はやっぱり受けタイプかしら?月城くんと同じタイプに見えるわ。


いや、月魄くんは攻めという新たな展開が期待できるのよね。玲一郎が受けと言うのもありに見えてきたし。



しかし、永町先生のお相手…は。他の先生を探す?それならやはりイケメンの先生?いや……待って?


私はジッと小波先輩を見た。

ふーむ、案外イケる?


遅くまで漫画部で一生懸命に漫画を描く先輩に対して、永町先生がソッとおにぎりを渡す。


「お疲れ様!これでも食べて、もうそろそろ帰ろっか?もう暗いし、僕の車で送っていくよ?」


「え…マジ?あざっす。やったー…電車代浮いたー」

と小波先輩は天然で喜ぶ。

ふふッと笑う、永町先生。


「永町くんは凄いなあ!…だって学生なのにもうプロだし、凄いよ!!先生なんてまだまだ…」

と自信なさげに言う永町先生に


「ん?そんなことないっすよ。先生とか…漫画家なっても新人は呼ばれないし、よっぽど上のランクにいかなきゃ無理で、それ以外は呼ばれても「大先生」とか付けられてバカにされる世界なんだよ?」


とアンチに苦労してることを明かす小波先輩。


「そっかあ、漫画家さんも大変なんだねー…」

すると小波先輩は永町先生の手を取った。


「ええ!?ど、どうしたの!!?」

と驚いてみると、小波先輩は熱い眼差しで先生を見つめて


「永町先生…俺のこと慰めてよ…」


「えっ!?ええ!?」

と慌てる先生をよそに迫る小波先輩…!


「ていうか…俺のネタ、今、行き詰まっててね。協力してよ?」

とおねだりされ、生徒のおねだりを断れない優しい永町先生はギュッと目を瞑り



「わ、わ、わかったよ!!せ、先生にできることなら!!なんでも協力するからっっ!!」

と赤くなる。

小波先輩はにこりとしながら近づいていきーー……♡♡♡




うん!いいわ!!いい!!

と1人で悶々と考えていると小波先輩に


「さやっちー…。まさか俺で考えたないー?」

と心を読まれぎくりとした。


「そんなまさか!!」

と慌てていると玲一郎がまた割って入った。



「おい!さやっちって!馴れ馴れしいな!!あんた!!」

と言うので小波先輩は


「だってライメも交換したし趣味合うし、別にいいじゃん、漫画部では全員のことあだ名で呼んでんだ。



藤子ちゃん」

と玲一郎もなんかあだ名で呼ばれた!!



「なっ!?」


部長の猪爪先輩は


「呼んでるの小波くんだけだけどねー」

と苦笑した。


「まあ、さやっち後でその件は問い詰めるからなー」

と小波先輩は言う。

玲一郎はまた剥れた。

仕方がないから


「嫌だけど、玲一郎にもライメのグループチャットに招待してあげるわよ…。


部での活動に影響するしね。


でも個人的に私に送って来ないでね?スタンプとかうざいし」

と言っておくと玲一郎は


「ふん!誰が送るかよ!!」

と言って拗ねていた。ほっときましょう。


永町先生は


「秋の文化祭に向けて合同誌を作ろう!それと1、2年生は冬のコミケに向けて準備しよう、サークル名は任せるよ」

と言うので


「まあ!先生!まさか!!コミケに出られるというのですか?漫画部の皆で!?」

と言うが永町先生は


「梶木さんと猪爪くんは3年生で受験があるから無理だけどね、1年生も3人も入ってくれたから行けると思うよ?


とりあえず申し込み準備はしておこうか?小波くんいるし、人は集まるかも!?」


「いやいや、流石にペンネーム変えて他人を装いますよ…、部としての活動だし。プロってもまだ卵だし、連載は卒業後になるからなあ…」

と小波先輩は言うが、同じく2年の

つり目でポッチャリ系の女子稲泉先輩は


「まあ、その読み切りめちゃくちゃ評判良かったじゃん、才能って怖い!!」

とニヤニヤしていた。それに小波先輩は


「イナちゃん……俺、イナちゃんの漫画も好きだけど」

とジッと見て稲泉先輩は頭を掻き少し照れていた。


「へへッ。あたし、バリバリの少年漫画だけど、やっぱり小波くんみたいに上手くないから持ち込みも連敗中さ!」

と言う。

……。


「稲泉先輩は持ち込みを?」


「最近は女の人の方が少年漫画を描く傾向があるよ。普通さ」


「でも性別バレたら一気にアンチくるから。男尊女卑社会だからねー?女が成功すると妬む奴らが湧くのよ」

と稲泉先輩は言う。


すると小波先輩は稲泉先輩の手を取り、


「イナちゃん!大丈夫!!俺が人気出たらアシに雇うから心配しなくていいよ!!」


「あはは!!小波くん、ありがとう!頑張ってね!」

と冗談かと思い受け止める稲泉先輩。

これはもしや!?

と言うと。玲一郎はくっきりはっきりデリカシー無く、


「なんだ、小波先輩って、稲泉先輩の事が好きなのか!へえ!!」

と言い、稲泉先輩はポカンとして、小波先輩は…にこりとして


「ちょっと、藤子ちゃん、外行こう」

と玲一郎の襟首を持ち、引きづられて行った!!


「ひ!!!」

と玲一郎は助けを求める様な目で見てきたが私は無視した。リアルでの恋愛に気を遣わない玲一郎が全面的に悪い。


たぶん小波先輩は稲泉先輩の事が好きだろうけど、稲泉先輩の方はまさか思ってないだろう。稲泉先輩以外、皆温かい目で見守っていると言うのにこの男は!!


永町先生は


「まあ、こんな部だけどよろしくね!」

と笑い、梶木先輩や猪爪部長もやっと私達を受け入れてくれたのだった。

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