王に呼ばれる日

「王都に来いと言う。ニーナを見たいらしい」


「私を見たい!?誰がですか?」


「辺境伯で、魔物討伐してる忙しいオレをこんな理由で呼びつけられるのは1人だけだ」


「……もしかして陛下ですか?」 


 そうだと頷く。


「まったく……オレがいない間の兵の編成、護衛に連れてく騎士、兵力の分散で頭が痛い」


 普段、不平不満を口にしないアデル様がここまで言うなんて。


「お断りできないんですか?」


「できない。王命だと言ってきた。なにかと叔父上はうるさい」


 そうだった。陛下は彼の叔父さんになるのね。アデル様のこと心配されてるんじゃないかしら?と思ったけれど会ってみなければわからない。

 

「ミランダからニーナは陛下の前に出しても申し分ないという返事をもらった。すごいな……あのミランダからそんな言葉が出るとは思わなかった」


 褒めてくれてるのかな?セレナのおかげだけど、その言葉に嬉しく思う。


「ボロを出すなよ。叔父上は勘がいい」


「………ハイ」


 あれ?釘を差しただけ?一瞬で、叩き落してきた。


「なんだ?褒めて欲しかったとか?」


 私、顔に出てた!?


「そんなことないですよっ!」


 どうせセレナのおかげだし、努力は半分くらいだし!改めて聞かれるとバカバカしくなってしまう。


「授業だけでなく、よく城の中も外もきちんとしてくれていると思ってる………その……なんだ………ありがとう」


 えっ!?えええええ!?


 アデル様が視線を逸らし横を向いて、お礼言い照れてる!?かっ可愛すぎる。


「い、いえいえ………っ……私、なにか役立てているなら……ほんとに良かったです」


 私の方も、なんだか恥ずかしくなって、赤面してしまう。


 コホンと咳払いし、アデル様が言った。


「さっきも言ったけれど、叔父上は勘がいい。バレないように本当の夫婦のように振る舞ってくれ。頼むぞ」


「はい。私、頑張ります!」


 ふふっ。二度目の結婚だから、大丈夫よ!夫婦とはどんなものなのか演じて見せましょう!って、……あれ?私、セレナの時は……病弱で、ガルディン様も幼くて……えっ?夫婦ってどんなんだっけ?


 自信を持って、二度目の結婚だし余裕ね!とか思っていたのに、よく考えてみると、夫婦らしくなる前に亡くなってしまった!しまったーっ!


 王都へ行く前に不安になってきた私だった。

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