少年の質感が良い

『少年らの恋、そしてスペース空手』に登場する、少年たちの等身大な描写が良かったです。
自分の知らない文化圏・場所からやってきた、美しく冷静でクールな視点と性的な奔放さを持ち合わせている同い年の人間と出会い、人生の見通しが変わってしまう主人公……そしてスペース空手。これはすごい話です。ぱっと見ると明らかにスペース空手が異物なのですが、スペース空手無しには話の根幹がなりたたない。

描写回りは生っぽい質感があり、学校に通う年頃特有の息づかいみたいなものを感じました。年若い人間特有の潔癖さ、自分とは違う思考回路を持つクラスメイト、先んじた恋愛観、美形の少年(同学年)に誑かされる主人公! 最高ですね。そしてそこへ突然差し込まれるスペース空手! 怒濤の特盛りセットです。各所に挟まれる要素要素への疑問にちゃんと答えが用意されているのもテクニカルでした。(美形の理由など)

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