一日目 集結。

★超絶、久しぶり更新(半年!)につき、前回までのあらすじ


山遭難、コンカフェ経営などで、戸塚オサム(主人公)の評価は上昇!


<女子レーダー>

・天王寺キララ(ずうっと超絶♥♥♥)/ロリ/ストーカー

・双葉アヤメ(♥♡♡)/巨乳JK

・白鳥ミカ(♥♥♡)/ギャル

・クラリス(♥♥♡)/巨乳キャバ嬢


<男子レーダー>

・イケメン氷室とサッカー部男子はド底辺へ。

・お調子者京極と、ゴリラ伊集院は、オサムの手下になる。

・イケメンストーカー教師美木多は、山遭難時の犯罪で警察から逃亡中。


<そして現在>

修学旅行に来たオサムたち。

後輩のキララも学校をサボり、キャバ嬢クラリスと共にストーカー中。

学生時代の思い出作り??のため、オサムは手下(イケメンとゴリラ)を引き連れて舞子さんの元へ。

そこへストーカーキララと美木多がやってくる。


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「キララちゃんっ!?」


 突然現れた天王寺キララに、最初に驚きの声を上げたのはゴリラ伊集院だった。


「な、なんで??」


 スマホの待ち受けをロリアイドル時代のキララにしているゴリラは、驚きつつも声が弾むのを抑えきれなかったが、オサムが居合わせている限り大人しくしているほかない。


 下手なオタ活に走れば殺される可能性がある。


 ──あいつは、絶対に殺すのを躊躇わないからな……。


 林間学校の遭難時、首元に押し当てられたサバイバルナイフの冷たさは、今もゴリラの脳裏に焼き付いていた。


「オサムきゅんのっ──」


 そんなゴリラの逡巡をよそに、天王寺キララが見ているのはオサムだけである。


 なおかつ彼女は怒っていた。


「ぶわかああああああっ」


 つかつかと歩み寄ったキララは、渾身の平手打ちを古傷が残るオサムの頬に食らわせた。


 小さな身体から繰り出された暴力とはいえ、ばちーんという軽快な音を聞く限り、それなりの痛みを与えたと分かる。


「──?」


 オサムは不思議そうな表情を浮かべ、無言でたれた頬を撫でた。


 イケメン氷室とゴリラは続く惨劇を予測して瞳を閉じ、美木多は口をあんぐりと開け立ち尽くしている。


 芸子と舞子は事態の収拾を図ろうと腰を上げ、キャバ嬢クラリスも駆け寄ろうと動いた。


 だが──、


「ばかばかばかっ、オサムきゅんのばかっ!! 何でクラリスよりババアの女どもとイチャコラしてるのっ! もう意味が分かんない。ケバいキャバすけよりババアの──」


 キララの無礼千万な言い回しに他の女達の動きが止まった。一様にこめかみをピクピクとさせて不穏な空気が流れ始めている。


 ──ふむ……。

 ──なぜ多くの人は、やがて失うと分かっている女の若さを、絶対的価値と主張する傾向にあるのだろうか。

 ──いや、そもそも若い女に、出産の安全性以外の付加価値などあるのか?


 虫も食わない痴話喧嘩の渦中にあるオサムが考えているのは──割とどうでも良いことだった。


「ばかっ──あ、あぅっ──」


 相手の胸を叩こうとした右手が、オサムの手に包まれたと気付いたキララは、思わず吐息混じりの声を漏らした。


 ──きゃわぁぁあん💕


「少し、静かにしてくれないか、キララ」


 オサムは唇に人差し指を当て、真っ直ぐにキララの瞳を見詰めた。


 やたらと興奮している相手を落ち着かせるには、目を見て冷静な声音で語り掛けるのが最も効果的である。


 秒で潤んだ瞳となったキララは黙って頷いた。


 座敷に静寂が戻ると同時、キララ登場以前から聞こえていた別の座敷からの喧騒が再び届き始める。


「ほお〜れ、ほれ。これが欲しいのか? あ? ん?」

「誰もがコレを好きじゃからのお」

「ワシは天下の牛山大吾! 教祖様なのだっ!!」

「あ、それ、大患難だいかんなん大患難だいかんなんっ。もう一つ次いでに大患難だいかんなんっっ!」

「ぐわーはっはっはっ」


 西船の元店長がのめりこんだ謎の新興宗教、そして癒し系キャバ嬢ユウナの勧誘で、店長と同じく巻き込まれつつあるお調子者の京極──。


 その諸悪の根源が、祇園甲部で派手に遊んでいるという情報を掴んだオサムは、修学旅行の機会を活用しようと考えたのである。


「え、じゃあ──」


 オサムと共に、グレートリカバリー教会まで京極とユウナを尾行した彼女は、牛山の名前を聞いて全てを理解した。


「──お調子者の低能屑を助けるために?」


 キララはオサム以外の全方位に毒舌を放つ。


 なお、オサムに対しては毒舌どころか毒液を飲ませるのだが──。


「ああ、トモダチだからな」


 真摯な表情で告げられたその言葉が、ずきゅんっと胸に刺さってしまった。


 キララ、クラリス、そして、


 ──な、なにっ!!?


 事態の推移を把握しきれず、呆気に取られていたイケメン氷室だったが、思わず謎に高鳴った自身の胸を押さえた。


 ──こいつ──ほ、本物なのか?

 ──やばいぞ。なんだ──この──、


 座敷では、三人の瞳が潤み始めていた。


 ──トキメキはっ!!


 などという、周囲の反応に無関心なオサムは常の調子で宣言をする。


「京極くんが迷わないよう、根本原因を排除する必要がある」


 コンカフェの営業に支障を来しては恩人ジョンに迷惑が掛かるし、何より京極は鍛えてやろうという親心をオサムは抱き始めていた。


「排除?」


 どうするのかな、と思いキララが小首をかしげた。


「うむ。弱みを握り隷属させ無力化するか──」


 オサムの生きてきた世界と観ている世界は他者とは異なる。


「殺すかだ」

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