第15話 迷宮遺跡の町

 食事を食べ終えて、魔狩人マカド教会へ二人は向かった。


 すると、返り血を浴びたままで歩いている魔狩人マカドパーティが歩いていた。

 パーティとすれ違うとブツブツ言う会話も聞こえた。


「くそっ。あれだけ間引いたのにまだまだあそこには魔物が居やがる。いったいどれだけいるんだアイツら」

「まあ、小銭稼ぎには変わらないんだからそうカリカリしなさんなって」

「俺達ももっと稼げる町へ拠点変えるか?」

「いや…私は無理。家族がここにいるし…食べさせて行かないといけないし…」


 そこまで聞こえたが、その声は遠くなっていった。


「魔物の数がどこも多くなっているってのは深刻そうだね…」

「そうですね…このエルグラン・ルシール国は、まだ精霊の力が強い土地なので、強い魔物は近辺にいないけど…強い魔物=稼ぐ事が出来るで、さっきの食事処のおばさんも言っていたけど、この辺の魔狩人達は人間の国などに、だいぶ行っちゃったみたいですね」


 ゲームでも始まりの町とかの周りって強くないモンスターばかりいるけど。

 これもオルキルトさんの仕様設定なのかもしれないな…。

 でも、魔物の数が多くなっているのは設定にあったのだろうか?


「イロハさんこれ見てください!」


 イルメイダは近くの武具店へ駆け寄った。

 イルが指を差した先を見ると、剣や斧などが並べられていた。


 その武具達は薄っすらと青みがかった色をしていた。


「ん?素材の色が少し違う?」

「よく気づきましたね。これはミスリルを使った武器なんです!」

「ミスリル?」


 ミスリルと言えば、確かゲームなどに出て来る鉱石の事…だったかな?


「うわぁ…やっぱそこそこ値段するんですねぇ…」

「う…ほんとだ。剣で金貨25枚かぁ…」


 2人が値段で引いていると、エルフにしては筋骨隆々な店主が口を開いた。


「いらっしゃい。それはね、ドワーフ製だから少し値ははるよ」

「ドワーフ製?」


 僕がぼそっとそう呟く。


「そうだ。ドワーフ国「ドワルフスミス」で造られたミスリル武具だ」

「イル、ドワーフの国で造られたのと、他が造ったのと何か違うの?」

「はい。ドワーフ族は力が強くて髭が特徴な種族です。物作りの事ばかり考えていて、頑固者が多くて、酒好きで、何日も体を洗わなくても何とも思わない不潔な…」

「あああ…イル…ちょ…いやそうじゃなくてさ…」

「ああ…コホン。綺麗好きなエルフとは真逆ですが、物作りに関しては一級品で、他の種族達が作った物よりも精巧で長持ちで魔狩人マカド憧れの品が揃っているわ。それもそのはず、エルフはどちらかと言うと風や水の精霊を主に司る半妖精の亜人ですが、ドワーフは火と土の精霊を主に司る半妖精亜人だからです」

「へぇ…よくわからないけど。つまりは、物作りは上手いって事なんだね?」

「ま、そう言う事ですわ」


 エルフってドワーフ嫌いなのかな?…

 まあでも、ドワーフが物作りが上手いってのは僕でも知っている事だ。

 漫画やゲームに出て来るイメージとそのままだからね。


 頭の中で、筋骨隆々で長い髭とハンマー持っている姿が浮かんだ。


「で?人間のぼっちゃんと、同族のお嬢ちゃん、買うのか?買わないのかい?」

「あああ…欲しいけど…今は…」

「ちょっとまって」

「え?イロハさん?」


 イルがそう言って、断ろうとしたけど。

 僕の剣は、シルマンダ町、防具屋のベラジオさんから貰った鉄の剣だ。

 あの迷宮品の宝石、あまりいろんな所で見せるなとベラジオさんは言っていたけど、地球でも3000万円と言う飛んでもない金額がついた、ここでも幾らかにはなるんじゃないだろうか?


 そう思って麻袋を開き見る。

 色の違う宝石が10個と金貨が12枚、銀貨13枚、銅貨6枚だった。


 白っぽい宝石と黄色っぽい宝石を1個ずつ取り出して店主に見せた。


「これ大昔の迷宮品の宝石なんですけど。幾らで買い取って貰えますか?」

「な…何!?迷宮品の宝石だと!」

「はい」


 店主はジロジロと宝石を調べる。

 暫く時間が経つと。


「ほお…これはこれは、恐れ入った。小さいけど、本当に迷宮品だなこれは…」

「ですよね?もうこれだけしか持ってないんですけど、高く売れるのなら売っても良いと思っているんですが?」

「イロハさん…その宝石、迷宮品だったんですか?…」


 後からいろいろとあると不味いから、持っている最後の宝石と言った。

 店主は腕を組んで考えていた。


「よし…じゃあ、このドワーフ作で好きな物を2本持って行きな。1個で1本と交換だ」

「え?良いんですか!?」

「ちょ、イロハさん…」


 イルが耳打ちするように僕を後に下げた。


『イロハさん…迷宮品だったら、もっと高いかも知れませんよ?ちゃんと相場調べてから…』

『イル、良いって…今から迷宮入るのなら、良い装備が必要だし。それに、僕が迷宮遺跡を解放する事出来たら、それこそ相場が暴落しかねないでしょ?』

『あ!…それもそっか…』


「何コソコソ話してんだ?どうする?交換するのかしないのか?」

「交換します!僕はそこの剣で、この子は…」

「じゃあ私は…あそこの細身剣で良いわ」

「決まりだ。毎度あり!」


 店主は微笑みながら壁に飾ってある、剣と細身剣を降ろした。

 イルは持っていた二人の武器を次元箱へ仕舞った。

 新調した武器を腰に携えて、僕達は店を出た。


 歩きながら、イルは今交換したばかりの細身剣を眺めていた。


「どうしたの?イル」

「ううん?ドワーフはあまり好きじゃないけど…この剣の造りは流石、ドワーフ族ですわね…剣芯のバランスが手に持っているだけで最高級なのが分かります」

「へぇ…そんなに違うんだ。確かにさっき持った時、扱いやすそうだとは思ったけど」

「それは、鉄なんて比べ物になりませんよイロハさん。ミスリルは、貴重な鉱石素材で、魔法を伝達しやすいのが利点なんです、なので、魔法を付与しやすくてバランスも最高なんですよ」

「へぇ…伝達とかよく分からないけど…まあ、良いって事だよね?高いだけの事はあるって事だよね」

「はい!」


 イルはそう言って満足そうに剣を鞘に納めた。


 ◇


 グランリアの魔狩人マカド協会に着いた。


「うわぁ…シルマンダ町の魔狩人協会より大きいなぁ…」

「うん、私も一度着た事あるけど立派ですよね。流石、元は迷宮遺跡の町。昔は沢山の魔狩人マカド達が行き来していたのでしょうね」


 建物は大きく立派だったが、魔狩人達は疎らにいるだけだった。


「イロハさん、とりあえず中へ入りましょうか」

「うん」


 広いロビーと、そのロビーを囲むように受付が幾つかあり、上を見ると吹き抜けになっていて、4階建てなのがわかった。


 受付を見つけてそこへ行くと、眼鏡を掛けたエルフの女性が、別のカウンターから走って来た。


「はいは~い!何か御用でしょうか?」


 どうやらさっき人が居たカウンターから来た所を見ると、この受付嬢エルフは掛け持ちで受付を熟しているみたいだ。

 周りを見ると、この広いこのロビーカウンターは3人の受付嬢で回しているようだった。


「あ、えっと。シルマンダ町の魔狩人協会副支配人サルーラムさんの名前を出すと良いと言われて来たのですが?」


 僕はそう受付嬢に言った。


「え?シルマンダのサルーラム…さんですか?」

「はい」

「あ!?ちょっと待っててくださいね!」


 受付嬢は走って何処かへ行ってしまった。


 暫くすると、またこっちに走って来た。


「お待たせしました!イルメイダ様とイロハ様で間違いありませんか?」

「そうです」

「ああ、では奥の間へおいで下さい!」


 受付嬢の案内で言われた部屋へ向かう。


 扉を入ると、忙しそうに身長の高いエルフが本棚を整理していた。


「入ります」

「あああ…そこのソファに座っていて貰えるかなぁ?ちょっと立て込んでいるのでねぇ。すぐに終わらせるのでぇ…」

「はい…」


 イルと僕はソファへ座った。

 大量に積まれた本と書類。

 この人相当、責務に追われているようだった。


「これで良し!」


 そう言って対面のソファに腰を下ろすエルフ。


「ふむふむ。聞いているよぉ。君がイロハ君で、貴方がイルメイダ君だねぇ」

「そうです」

「ふむふむ。私はぁ、グランリア町の魔狩人協会総支配人のランバル・シスルファムと言うね。お見知りおきを」

「はい」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 後書き。

 まだまだ序盤です。

 ファンはまだ沢山いませんが…数人のファンの皆様、ここまで読んでくれて有難う御座います。


 今は各時間も有りますので、頑張って書く所存でございます。

 まだフォローしてないよと言う方はフォロー&評価よろしくお願いいたします。



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