第12話 山宮家警備隊

俊輔と北条宮子が寝静まったとき、彼らのすぐ真下15mには警備司令部(CP)が忙しくなっていた


山宮家警備隊。それは山宮家のあらゆる財産と山宮家一族を守るために創設された部隊であり、この存在は俊輔の祖父。幸三しか知らされておらず、次期当主である俊輔やその側近の北条ですら知らない

部隊のほとんどは女性であり彼女たちのほとんどは日頃メイドとして業務をこなしており、”普通の屋敷従業員”を装っている

女性の割合が多いのは相手を油断させるためという比較的シンプルなもので決してやましい目的ではない


その部隊がいち早く変電所付近の異変に気付いていた


「変電所の様子はどうだ?甘桜」


巨大スクリーンに衛星映像が映し出され、それを見ながらインカムにそう聞くのは司令部の最も目立つ場所に立つ黒髪長身の女性

履いている黒ストッキングが最近窮屈になってきていることが悩みだとか


彼女の名前は浅葱マヤ


この山宮家警備隊第23代目司令長官であり

キッとした目つきに美しいボディライン。いかにも普通の女の子ではない彼女は若干20歳。しかも俊輔のことが少し気になっているらしい

しかし警備隊の都合上あまり接することができないため最近はメイドとして俊輔に物的に近づいているとか

しかしどこにいても北条宮子がいるため少し妬いているところがある


「はい。不法侵入者は依然として変電所で何かを行っています。それがどういったものかは少し距離があり過ぎて見えません」


暗視ゴーグルを装着した迷彩柄の服を着た集団はすでに変電所周辺を囲んでいた

浅葱の命令一つでいつでも動けるようになっている


レナが用意したこの即応部隊

ハーゼンクレーヴァーが所有する独立部隊であり、こちらも山宮家警備隊と同様その主や財産を守るための業務を主としている

しかもこの部隊の指揮官はレナであり、最悪の対峙をしてしまうであろうこの二つの部隊は今は大きくは動こうとしない


浅葱は屋敷周辺の警備強化と変電所の部隊に対する武力攻撃を提案した

しかしそれに賛同しない者がいた


「警備については賛成いたします。しかし先制攻撃は死傷者を生む危険性があります。そう言ったことが公になればご主人様とご当主様にも危害が及ぶのでは?」


冷静な意見を述べたのは副司令官筒島ユメコだ

彼女もまた浅葱に負けず劣らず優秀であり、この屋敷最大の金好きである


(くっ!!ご主人様に危害が加わると私の給料にも影響を及ぼす可能性がある!!なんとしてもこれは防がねば!!)


浅葱は一度考え込むと再び喋りだす


「副指令の言うことも一理ある。がこれは確実に素人連中ではない。何か目的があってこの変電所にいるに違いないんだ!なんとしてもご主人様をお守りする。それが我々の使命であり義務だ。ここで強く出ることは私は必要だと判断する」


しかしその瞬間屋敷全体が突如として停電した!


「やはり停電か、しかしそれは想定内だぞ!予備電源に切り替えろ!」


「は!!」


すぐさま照明が復旧し、巨大モニターには現地部隊からのサーモグラフィーと暗視カメラ映像が映し出される







「甘いわね。これだけなわけないでしょ!!」


ニッと笑うレナは明後日の方を見た


全く別の遠方から一発の飛翔体が発射された

それはEMPジャマーを搭載した一機のドローンだった!それが俊輔たちの屋敷に向かって飛ばされたのだ!







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