愛情とエゴ(100%ネタバレあり。閲覧注意)

延命治療に関して、患者(猫)と家族(飼い主)側の視点を描いた作品。

主人公は、猫なので、治療行為の意味が理解できず、序盤に「虐待だ、地獄行だと。」と訴えますが、猫の神様(でよかったでしょうか?)の力で、猫が飼い主の気持ち(深い愛情)を理解して、「地獄、送る。あたしと一緒に」というツンデレワード〆の感動作品です。

腎臓の病気は老衰による影響が原因なため、飼い主は、延命治療であることを理解しており、自分の欲望(治療による苦しい思いをさせてでも、もう少しの時間、一緒にいたい)に関する独白の描写が、これでもか!と、読者の感情を強く揺さぶってきます。

猫のと猫の神様のパートを、あえて童話(ひらがな)風に描写することで、飼い主の治療時の独白が際立つ構成になっており、作者のテクニックを感じました。
作品のタグから予想したストーリーだったのですが、それでも目から涙が出そうになりました。

延命治療という簡単には割り切れない、非常に難しい問題が背景にあったからこそ、気持ちが通じ合ったであろうかけがえのない結末に読者は深く感動してしまうのかもしれません。

「ふろたき女と、鬼の姫」の時もそうでしたが、作者様の感動系作品を読み終わった後は、かなり精神力を消耗してますね。安易に読めないw(褒め言葉)です。

作品、ありがとうございました。

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