第2話 盗賊を確認する

 私は彼女の良く発達した太ももに体を預けた。

 「で、其の男が屑で母を妊娠させてある程度安定するまで甲斐甲斐しく世話をして、薬を盛ったみたいです」

 「ん、それって、、」


 少し背中を伸ばして何かに耐えるような声を出して、誤魔化すように彼女が返事をしたので手を白い太ももに置いてみた。

 「ええ狙いどうりなんでしょうね。欝に成りそうなくらい沈んで居る母に呪いの様に毎日行政や町の有り方の不備等の悪い事実だけを今の女性、とくに妊婦と関連付けて並べて話したそうです。」

 

 「洗脳されかけた母が世直しのため仕方なくと言う男の言い訳にしぶしぶながらも付いていった現場で、とても堅気とは思えない20人位の集団と合流したことで疑問を持ったのでしょう一歩引いて付いて行ったらしいんですけど、領主の館が見えてきたとき後悔し始めて、その屋敷に忍び込んで直ぐに悲鳴が起こったそうです」


 全てを受け入れていると納得したようで彼女の顔がうなじにくっついてきて深呼吸みたいなことをしだした。

 

 「其の叫び声の中に子供だけはという言葉を聞いて母の何かが切れたみたいで母親が言うには気が付いたら御包みに包まれた僕を抱いて屋敷から少し離れた丘の上に居たそうです後ろを見ると屋敷からは火が出て一緒に居た男は辺りに転がって呻き声を上げていたそうです。」


 その時うなじにキスを受け、しばらくの時間を共有する。




 ぱらぱら雨の音が続いている歳をとって雨の音も聞き飽きたのかと思っていたがそうじゃなかったと再確認した、今聞いている音は新鮮で水の透明度を想像できる、ああ歳のせいで音の聞こえ方が違ったんだと思う、薪を足さなきゃと思うけど動きたくない。


 「でちゃったね」


 後ろから声が聞こえる。今は最初に穴風呂に入ったときの体勢で二人並んで浸かっている。いやホンと七歳だよ?まあ前世の初夢精が十歳だから可笑しくはないのか?。


 「これじゃあ雨がやんでもバイバイ出来ないよね、ね」


 ああ例の慣例のことか、強制でもないけれど妊娠の確認をしたがる人が多いが、別に情とかの話ではなく此処では結婚というものがしにくい事情がある。

 人頭税が所帯税に代わりいろいろ優遇もされるが妻を5人以上娶らなければ結婚出来ないし、しかも男子を産まなければ離婚が出来ない慣例まで有る。


 其のせいで旦那が死なないと自由になれないなんて会話がお茶会なんかで普通に出てくるらしい。

 実際にねえ?なんて話もヒ素ってあるらしいわよなんて。

 

 こわっ!!!


 まあそんな世界で子供が欲しい人や単に安住を求める人などが行為を終えた後、俗に言う関係を持った場合2ヶ月くらい一緒にいる事が多い。私は湯の中で膝に乗り返事の変わりに頭を後の乳房に預ける。


 「この町を離れてもいいの?」

 聞いてみた。

 「あいつらに一発位入れたかったけど、君をほっとけないし」

 私の鎖骨あたりをさすりながら尻すぼみに囁く

 「ああ、仕返しは出来そうですよ」


 少し怯んだ表情で見られた。実は此処に温泉を出していたウィンドウを下山した奴らの監視に回している、このウィンドウ許可を出さない限り他人には見えないのでリサには理由は分からない。


 あいつらリサの宿から洗い浚い荷物も盗み出し、アジトで酒を飲んでいた。


 「囮になってくれる子があの町にいまして、あ、話が纏まったみたいですよ明日昼前に山に入るそうです。」


 さっき着替えを取りに行ったときウインドウで奴等を探そうとして見つけた子に頼んでおいた。


 「???」

 「まあ追々説明します。でもこいつ等はだめですね、ちょっと失礼します」


 湯から出て体をさっと拭き荷車に入る、ピーピングウィンドウに火掻き棒を入れて円筒状のものを取り出し筒の頭を前に向けまわし始める。




        ★



 「ねえ、如何したの?あれ、あったかい何これ?」

 暫らくしてリサが中に入ってきた。

 

 もう一つのウインドウは少し暖かい地域の森に繋げて空気を循環させている、この荷車は密閉性と頑丈さに最も力を入れて作っている、たぶん私が居ないと窒息死する、一番怖いのは人間だからね。でも彼女は私が回している円筒のせいと勘違いしたようだ。

 「そんな重そうな物回したりするから腕とか硬くなっちゃうんだよ。」


 真正だね目覚めたねはんてんの着こなしも完璧だ、乳房が見えたり見え無かったり。


 「男の癖に身体強化が出来ないので、逃げ延びるまで死なない様にしろって筋トレさせられてましたから」


 そう、この世界の男は何がしかの身体強化の魔法が使える、其の為6歳頃から15歳ぐらいまでの男子は全て大都で寮生活を強制される。理由はそのままで事件事故を少しでも減らすことと人としての良識を叩き込む事。


 たまに人手のために隠して育てる人が居るみたいだけど知る限りでは悲惨な結果しか迎えていない。


 前世で砂漠がある国の戦争では10代の少年を前線に立たせるのが常識になっている、銃という力に容易く逆上せ上がるからだそうだ、まあ大人の思惑もあるだろうけど。


 女性は俗に言う魔法が使えるが一瞬で突貫してくる暴力に抗える人はそう多くは無いようだ。


 リサが私の後ろに座り手を回してくる。


 「やっぱり、男の子だ」

耳元で囁く、軽くはだけた胸を押し付けるのを忘れない、でももう一寸待って、一応筒の先端は向こうに出しているけど何か色々な音がしそうで駄目だから。仕様が無いので口を塞ぐことにした、首を回すと唇が吸い付いてくる、円筒が轆轤なら何かの映画だな男女逆か?とか考えながら手をぐるぐる舌をぐるぐる回していると話のピークが終わったので円筒物から手を離す。



        ★


 少し寝て目を覚ますと鼻歌が聞こえてくる、リサは外に居るようだ今のうちにと協力者に連絡を取る事にした、装備も心配だからねピーピングウィンドウを彼女の宿に繋ぐ、着替え中だった少女は急に此方を見上げた。

 「おい!」

 「おう、凄いねわかるの?見えないよね。」

 「ドンだけ覗いたか覚えてないのか!」


 違うよね人聞きの悪い、いやその前にかくせ!!。

 彼女は同じ村に住む12歳のポニテの似合う少女でリリカと言う、まあ彼女からすれば幼馴染?でいいのかな私などやっと8歳になるかという歳なのだが、私が1歳を過ぎた頃に母親と知り合ったらしくよく面倒を見に来るようになった、私はプレイに嵌っていると自分に言い聞かせて狂気から逃れた、その、赤ちゃん言葉とか、おむつとか。


 ピーピングウィンドウを発動して色々見えるようになった時にある事を思いつき居ても立っても居られずに決行した。

 その日の深夜何とか睡魔に負けず家から抜け出し家の前の草原に向けてピーピングウィンドウを開く。

 繋げる先は遥か東、そう男の夢と憧れの一つ懐中電灯!!。


「光透過!!」

 厨二病的に叫んだ瞬間。

「いやっほう~っ、あっかリー!すげー!!」

 イヤモウその明るさたるや当たり前だがまさに昼、5000LMとかの投光機も生前買ったことが有ったが全然別物!ウィンドウを少し位小さくしてもさほど明るさは変わらなかった。

 感動に打ち震えながら光を振り回している時後ろから声が聞こえた。

「スッゴーイ!明るいねーオムル君がヤッテるのー?」


 それから付き纏われ呼び捨てになりなぜか最近昇格してきみ呼びされて居る。いや覗いていたのは彼女の魔法のせいでさすがにエロは無い。


 強度は高いが錬度は無い火魔法使いで目が離せなかった。


 強度は威力が一番近いか、火魔法は物を燃やすことが出来るが強度によって燃える温度と規模が違うそして錬度によって標的の距離や力の向きなどの技術力が決まる。彼女は極端に錬度が低かった、反応距離じつに50ミリ、使えば怪我をする魔法、それを何とか使い物にしようとあの手この手隠れてするので正直私の人生100年の内であの頃が一番しんどかった。

 よくぞスキルが開花した物だ。ちなみに彼女があの晩あそこに居たのは好きなことが起こる予感だったそうだ。


「あいつらの人数は?」

 「その前に顔見せなさい。」

 ピーピングウィンドウは覗かれる側からは見えないけれどウィンドウの位置はインもアウトも自由に設定出来るのでもう一つを逆に開いて双方向通信にした。

 「装備の確認もするから見せて。」

 「何焦っているの?」

 「何で?」

 「君が自分から彼是言うのは何か隠している時よね?」

 「違うよ!!あいつ等ホントにヤバイんだって、それより服を着てっ!」

 膨らもうと一生懸命な胸をがん見しながら言っても説得力が無いな。じゃなくてあいつらの仲間内の話を聞いてしまったんだ、想像だけで人類を呪いたくなる話を。

 「まあいいわ、ちゃんと合流するのよね。」

 「いや来るなんて知らないし、直帰るのに」

 「それはどうかしら?」

  「何か感じたの?」

 「なにが?」


 自分の事が今一、分かっていない人と会話をするとこうなる。疲れる。多分だけど彼女のスキルは直感みたいな何かだと思う女性は教会で見て貰ったりしないので解らないが。

 「まあいいわ、合わして。」

 「な、なにと?」

 じっと私を睨むリリカの目が少しずつ大きくなって潤んでくる。これはあれだ即座に反応しないと拗れるやつだ、長引くやつだ。


 「わ、分かりました、あのすごく辛い目に有ってる子だと思うので・・・」

 そう言いながらリサを呼びに行く、実際彼女が人を傷つける事が無いのは知っている、しかしリサは・・見かけは16・7で開発された体、都合よく体位を選ぶ器量、極まった時の教え込まれたような台詞、土魔法も十分実用できても故郷から出、盗賊に狙われるだけの財産と色気を持っていれば大体の過去ぐらいは分かろうと言うもの。100歳は伊達ではない。

 

 雨は止んで僅かに夕日が雲を照らす、雨に驚いていた虫たちも徐々に鳴き出してくる。


 ウィンドウを2つ共使っているので暖が取れない、慌てて焚き火に薪をくべて反対側にも鉄板を置き熱を閉じ込めた。

 昼の鍋に野菜と出汁こぶを足して煮込む事にする。

 パンを車輪付き冷蔵庫から出し枝に刺して焼く。ちなみに冷蔵庫は前世で子供の頃使っていたのを思い出して作った、厚めの板で箱を作って内外を鉄板で密封すれば大き目の氷で5日程持つ、私は気泡鉄で作ったので更に長持ち、氷は取り放題だしね。


 鍋が少し心配になって来た頃にリサが目を赤くして出てきて私をじっと見ている、暫らく見つめあった後彼女の方が目を逸らした。


 リリカの装備のメンテナンスをする間にリサは乾いた服を軽く畳み車の中に持って来てくれた、私たちはあまり会話を交わすことなく作業をこなしたが物音に敏感になるような張り詰めた感じではなくやんわりと時間が過ぎた。


 メンテナンスが終わってピーピングウィンドウを閉じるとき「一寸早すぎない?」聞こえた・・・・ねえ?。


 荷車から出て見ると鍋が焚き火から少し離されていてお玉でかき混ぜてくれている、パンは少し固くなっているようだが今子供舌の私には丁度いい感じ。冷蔵庫からバターを出して見せると目を丸めるリサがとても可愛く見えた。


 食事の後定番のリバーシをしている時に少し思いつめたように口を開く。

 「お母さんのお話何処までが本当なんですか?あんなに細かく知るのは無理ですよね」

 最後にほんの少し咎める響きが混ざっている。

 「もう直8歳のそれまで溺愛していた子供をほっとくなんてと思って後を付けてたんですよこれで」


 甘いも酸っぱいもたんと経験した百歳児である、これでと呟いてピーピングウィンドウで町の様子を映して見せた。

 「母親の独り言や最初の町でいやな目で見ていた男の後をつけて仲間との話を聞いたりして分かったんですよ」


 あの日神殿で見せた母のあの顔は自分のしくじりに気が付いたからだった、まさか3年も私を探しているとは思いもしなかったそうだ。


 黒目黒髪は見た限りあまりいない、神父の眇めは其の所為だった、協会は都にしかなく村で暮らしていた私たちは簡単に見つかることは無かったが限界を感じたのだろう母親は、いや風刃のセイランは発端になった盗賊たちに会いに行く積もりだった。


 此処まで気付いて此の間鉄で作った家の物置を改造、荷車にしてピーピングウィンドウに突っ込んで家を出た。少し逃げたところで家を覗いて奴らの事を知ったのだ。


 戦の準備なんてしてなかったので一寸焦った。


 フードの付いたマントをはおり、武器を作りながら旅をし今日で十日目だ、途中で買った食材も少なくなってきたし宝石は有るけど現金が無くなって来たので如何しようかと思っていた所だと話したら少し怪訝な顔をされた。

 「いや子供がこんなの売りに行っても軽く遇われるんだよ」

 ダイヤと思われる子供の拳大の原石をみせた。ピーピングウィンドウまじ神。


 「私の仕事?」

 「違うよ、一緒に居てくれればいいよ。」

 「・・・・」

 「明日奴らを捕まえてから町に行って買い出しに行こう。」

 「うん。」

 何か少し重い空気が帰ってきたので又お風呂に入る事にした、今度は少し温めにしてユックリ入ろう。

 彼女も入ってきて私を抱き上げると前で包み込むようにして湯に浸かり私の二の腕をさわさわ揉みだした。

 背もたれも極上だしマッタリしようとウィンドウを出してどこかの森を探して二匹の小熊と横で蜂蜜らしき物を舐めている親熊を見つけたので二人でぼんやり見る事にした。




 まだ少し寝ていようかとはっきりしない意識の中でまどろんでいると頬に何か当たる、柔らかい感触が右頬に次に左頬にまた右頬に柔らかさに覚えがあって一気に現実に覚醒した、同時に銜えた、釣られた。


 何と言う事かリサは乳でびんたをしていた。

 当然飛びつく。

 

 朝から温泉に入る事に成った、この歳でこの精欲は無いのか?凄いスタミナだと自分でも思う昨日の昼から五回目だ。それもこのおっぱいが悪い。


 湯船で頭をゆらゆらゆすると後で甘い声が聞こえて来たのでさすがにやめた、すっごい顔で此方を睨んで盗賊どもを連れて町を出るリリカと目が合った気がしたから。

 

 今回の餌は私だ、町に戻った盗賊にピーピングウィンドウを付け様子を見ているとアジトらしき所でとんでもない暴露自慢話を始めた。

 あまりの内容で我慢できずに同じ町に居たリリカと連絡を取った。

 ピーピングウィンドウはとっくに彼女との連絡手段だったのですぐ話は付いた、私の作った盾と剣をアジトの前で売りに出してもらったのだ。

 幸い町は雨にはならずうまい具合に奴らが食いついた。ショバ代云々からサス付きの盾の衝撃吸収性と剣の切れ味を見て私を囲うか売り飛ばす事を考えたようだ。


 盾は足に付ければ六m位落下してもノーダメ、剣はイメージ通り良く切れる、Feフリーって本当に想像した通りにしか形を作れない、加減が難しい。


 「おいっ、ホントにこんなのが他にも有るのか?」

 「こんなので良かったら一杯有るよー、もっと凄いのも有るからねっ!」

 ぐりんて此方を向いたよ、こわっ、一寸後頭部で幸せ気分を、わあっ出る出るから。

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