第30話 百合さんと王子さま


美少女とお風呂の時間です。


今夜は百合さんの提案で水玉さんと一緒に入りました。


百合さんは現在エリザベス先輩と入浴中



エンジェル先輩が一緒に入りたいと駄々をこねておりましたが百合さんの希望です。


ここは我慢してくださいな。



――――



まずは水玉さんの髪を梳かしてあげましょう。


きちんとお手入れしていますね。


恋する乙女は努力しています。偉いですよ。




水玉さんとのお風呂の時間 有意義な時間でした。


美少女との裸の付き合いも良いものです。


水玉さんは百合さんよりちょっとだけ大人でした。


それでもやっぱり小学生


まだまだ色々とお子様ですね。 ふっ(大人気ない)




百合さんもエリザベス先輩とお風呂上り とっても笑顔ですね。


もう恋バナを始めたのでしょうか。


ふたりとも楽しそうで何よりでございます。



――――



ふかふかのカーペットの上にローテーブル


個々に大きなクッションが配置されております。人をダメにするお高いクッションですね。


テーブルの上には焼き菓子とリラックス効果の高い紅茶



立派な『夜会』でございますね。



百合さんはあんなに緊張していたのに一緒にお風呂に入ったら随分打ち解けたようです。

やはり裸のお付き合いは大切ですね。


水玉さんもわくわくしながら座っています。


ドレスコードに従って可愛いパジャマ


百合さんと水玉さんの可愛さは殿堂入りです。



エリザベス先輩は小花をモチーフにした美しいパジャマ 

パジャマ姿でも気品を感じるとは恐れ入りました。


姫子さんもきちんとパジャマですね。とりあえず一番上のボタンを留めましょうか。


こうやっていつもの仲間がパジャマになると空気が柔らかに感じます。



――――


ホスト役のエリザベス先輩からご挨拶



「お忙しいところ夜会に集まっていただきありがとうございます。

 このような形式での夜会は初の試み故、至らぬ点はお許しください。

 精一杯のおもてなしをさせていただきます。お楽しみくださいませ」


エリザベス先輩が仰る「精一杯」の言の葉に挙動不審になる私です。

やはりパジャマパーティーではなく夜会を開催するようでございます。



「夜会では心寄せる殿方のお話をするとお聞きしております。

 みなさんの好まれる殿方の条件を教えていただけますか」


なかなか直球の恋バナです。好みの殿方のタイプですね。


当然、百合さんからです。



「えっと いつでも困ったときに助けてくれる優しい人が好きです」


あらまあ 素直にお答えになるのですね。

百合さんの心寄せる殿方は白馬の王子様の様でございます。素敵ですわ



「ひーくんって いつも百合ちゃんのこと助けてくれるよね」


「どのように助けていただいたのですか」



「男子にいじめられていると走ってきて百合ちゃんの前に立つの でね

 『何してる』ってカッコ良く言うの」


「それにね それにね 転んでけがしたら家までおんぶしていったんだよ。

 歩けるのにねっ ねっ」


「まあ 頼もしい方ですね。良い殿方と巡り合えましたね」


水玉さん大暴露大会でございます。いつも甘いお姿を見せつけられていらっしゃるのですね。


百合さん照れながらもとてもうれしそうでございます。

心寄せる殿方が褒められているのです。これは心浮き立つものがございましょう。



――――



「水玉さんはどのような方に心惹かれるのですか」


「水玉ちゃんは学級委員長くんが大好きなんだ です」


百合さんが答えてしまいましたね。ここにいる皆さんはすでにご存じですよ。



「何をたのまれても断らないの イヤなことも全部ひきうけちゃうの

 みんなが遊んでいるときでもひとりでがんばってるの

 だれもほめてくれないのにがんばるの


 だから・・・ 大好き・・・」


熱弁でございますね。後半、少し涙声でございましたよ。

好きがあふれてしまったのですね。



「大丈夫ですよ。頑張っていることを水玉さんがご存じなのです。

 水玉さんがほめてあげてくださいね。きっと喜ばれますよ。

 支える人が必要なのです。水玉さんが支えて差し上げましょう。

 この想いを届けられる日を信じるのですよ」


エリザベス先輩の言の葉が優しくて、まるで聖女さまのようでございます。

私の『なんちゃって聖女』が恥ずかしゅうございます。



「そんな殿方が現れたら恋に落ちて当然でしょう。 

 私も恋してしまいそうですわ」


「姫子お姉さん とっちゃダメです」


姫子さんからかってはいけませんよ。百合さんに怒られてしまったではありませんか。

でも素晴らしい殿方なのですね。年齢など関係なく人として尊敬致します。



――――


「アリスさんはどのような殿方をお望みなのでしょうか」


そうですね。とても気になります。



「シュークリームをたくさんくれる人っ 

 それで一緒に『おいしいね』って食べてくれる人」


色気より食い気でございますか。それもアリスさんらしさではありますね。



「それでね おばあちゃんになっても一緒に『おいしいね』って食べるの

 ずっと一緒に笑っていてくれる人が一番好き」


あら 未来を見据えた堅実なお考えでしたのね。

アリスさんを見る目が少し変わってしまいましたよ。



「無理をせず背伸びせず同じ価値観を持って寄り添える方とのことでしょうか。

 人生を共に過ごすのであれば大切なことですね」


シュークリームが奥深く神々しい存在に感じてしまいます。



「シュークリームをくれるって言われても知らない人について行ってはだめです」


水玉さんに怒られていますよ。

そうですね。ついて行ってはいけませんね。お可愛いことです



――――


殿方の魅力を見つけてときめく瞬間


恋の前では年齢など関係なく初心な乙女


年下のあなたたちがしっかりとした心を持って魅力的に輝いていること

眩しく感じております。



恋が彩る夜会 まだ始まったばかりです。


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