4-2

「……続けて下さい」


 この時点で断られる事を想定していたのか、黙ってこちらを見るカヴァに先を促した。が、返ってきたのは質問だった。


「ロブマイヤー様。この国を見てきたのであればお聞きしますが、シャンパーニュをどう思われますか?」

「……どう、とは?」


 ロブマイヤーから見て色々思う所はあるが、所詮は他国。自分には関係無いというのが最初に来る。次に正直に告げた後どうなるか、という警戒だ。カヴァはそれに気付き、頭を下げる。


「分かりづらい質問で申し訳ない。ただ、おかしいとは思われませんでしたか? 此処の国民を見て」

「その事と、依頼内容に関係があるのですね?」


 ロブマイヤーはあくまでも自身の意見は述べない。頼みたい仕事があると言われたから赴いた、そして今はまだ受けると言っていない。まずは詳細を話せ。その姿勢を貫いた。

 その事を察したカヴァは腹を括ったようで、やがて、ぽつぽつと語り出した。


「……分かりました。一から全てお話します」

「是非お願いします」

「今この国を支えているのは、フレシネ キュヴェ エスペシアル。名前はご存じですか?」

「ええ、皆さん口を揃えて仰います」

「……それは、私の実の姉の名前です。そして、私が唯一心の底から愛した女性の名前でもあるのです」


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