3.佐々木くん/クロノヒョウ

作品名:佐々木くん

作者名:クロノヒョウ

性癖:宇宙人とそれを普通に受け入れる地球人

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330656249911881


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 クロノヒョウさんも今回初参加の方ですね。新しい性癖表現者の方を迎えるのは大変嬉しい事です。ご参加ありがとうございます!


 こちらの作品はほのぼのとした内容の異文化交流の物語です。

 性癖小説選手権と言えばバチバチに物騒だったりめちゃめちゃに愛を押し付け合う登場人物の作品が多いですが、作品の語り手は特に何の変哲も無い男の子で、その男の子が出会った宇宙人の友達とのお別れを惜しみながらも見送るという成長の物語となっています。

 全体的に優しい雰囲気で語られていて、作中で主人公の男の子が「僕たちだって宇宙に住んでるし佐々木くんから見れば僕たちの方が宇宙人じゃないか」と発言した通り、宇宙人だからと言って差別は良くないよねと考えさせてくれます。


 しかし、オチの部分は記述トリックめいた仕掛けで、宇宙人の佐々木くんの外見は実は緑色のどろどろした物体で、人の耳の穴に触手を伸ばしてテレパシーで意思を伝えるという物。粘菌生物でしょうか?なんにせよまともな人型ではないのは確かです。

 佐々木くんのこの外見が分かった状態で作品を最初から読み直すと(なんで受け入れているんだこの人達は…)となってしまい、語り手の少年が発した優しいセリフでさえ自主的に言ったのではなくて『言わされた』のではないかと疑ってしまいます。この少年はなんかいつも一人で居そうな感じですし、子供だけならまだしも親も佐々木くんを受け入れているの不思議ですしね。


 と、この作品はここからが本番でして、頭から順番に読み進め、佐々木くんの正体を知って(なんだこれは)と思った時にこそ、クロノヒョウさんの性癖の『宇宙人とそれを普通に受け入れる地球人』という物が大きく効いてきます。


 自分は佐々木くんの外見の説明を最後にする部分を「記述トリックめいた仕掛け」と書きましたが、これは自分が勝手に「宇宙人ならこういう外見」と決めつけた事で発生した記述トリックなので、最初から「宇宙人なら粘液生物だろ」と思っている人にとっては記述トリックでもなんでも無い普通のお話になります。


 ここがこの作品の凄い部分。


 宇宙人は未だ確固たる姿の発表が無く、どんな姿でもあり得る存在です。それなのに後から姿が人型じゃないと分かるのを「記述トリックめいた仕掛け」と感じてしまい、「佐々木くんは本当に少年達の善意で受け入れられたのか?」と疑ってしまうという事は、そう思ってしまった人が『宇宙人とそれを普通に受け入れる地球人』という性癖に偏見や興味を持っているという事に繋がります。


 あなたは最初から『宇宙人とそれを普通に受け入れる地球人』を佐々木くんがどんな外見だろうと善意で友好的に受け入れてると思いましたか?

 佐々木くんの外見やテレパシーの方法を知った時に(それは普通に受け入れれないだろ)と思ってしまっていませんか?

 そうやって違和感を持ってしまった人は見事にクロノヒョウさんの性癖術に落ちてます。男の子が言う通り、「僕たちだって宇宙に住んでるし佐々木くんから見れば僕たちの方が宇宙人じゃないか」という事なので、勝手に「宇宙人はこう」と決めつけたのがダメなんですね。


 クロノヒョウさんの『宇宙人とそれを普通に受け入れる地球人』という性癖からは、逆に『作中人物は受け入れましたが貴方はどうですか?』という自らの常識に問いかけをして悩ませるというメッセージの様な性癖も感じました。

 なんて名付けるべきですかね。『正しい道徳』とか『忌憚のない常識』とかそんな感じですかね。

 佐々木くんをどう信じるか。それが大事な事なんだと思います。出来ればファーストコンタクトが見たいですよね。いきなり頭に飛び掛かったりしてるのかも…


 初参加でありながらドk儒者に問いかける形の素晴らしい性癖を拾いしていただけました。

 性癖小説選手権は全部で三作投稿可能なので、良かったら是非とも他にも性癖小説を投稿していただきたいと思います。

 ご参加ありがとうございました。

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