第2話

葉山裕二は職場に着いた。4月の今がホワイトアスパラの原料を500グラムに測って袋に入れる。それをひたすら30キロ行う。特売品の規格外の太いホワイトアスパラだ。袋に入れるのには理由がある。ホワイトアスパラは茹でる前に皮を剥かなければ食べれれないその説明書を一緒に入れる為だ。


その手間さえ無ければグリーンアスパラと同じくらいホワイトアスパラは売れている事だろう。味は物凄く美味しい。グリーンアスパラより収穫の時期も1ヶ月ほど早いのでいいと思う。


「仕分け終わった。さあ、今日も完売できるかな」


ホワイトアスパラの固定客は多い午後2時半には完売となった。その後もレジを続けたが、他の野菜は余っていた。ホワイトアスパラはなかなか優秀な商品だ。規格外が安いのもあるが、製品だと数倍はするだろう。


「よし帰ろう。スマホゲーム楽しみだな」


葉山裕二は職場では最低限の会話しかしない。それどころか今日のように挨拶以外会話しない事もある。完璧にゲーム狂いである。


自宅に到着すると真っ先にスマホゲームを始める。今日は給料日。待ちに待った課金ができる日だ。仕事中も会話しなかったのはそわそわしていち早く帰りたかったからである。


「メフェエレの無課金生活もこれでさよならか。指が震えるぜ。課金生活のスタートだ。これで強くなれるぞ!」


葉山裕二はキャラだけ強くしてストーリーを全く進めていなかった。その理由はクリアー後に700%お得パックが出現する為だ。2時間の間しか出現しないので、それを逃す訳にはいかない。その為にわざとゲームを進めなかったのだった。


「うほーガンガン進むぜ。俺のキャラ達強いぞ。よし章をクリアーお得パック出現だ」


今回のお得パックは11800円もするが、4属性のうちから1つ選ぶ事が出来るので非常にコスパがいい。お目当ての属性が来るだけで4分の1お得なのだ。つまり4倍。


とりあえずストーリーの進行に必要な最強キャラのフリーレンズのいる青を選択した。8枚もあるのでフリーレンズが出る確率はかなり高い。まだ持っていないのだ。


「フリーレンズ4枚もきたー! これで貯めてた素材全員突っ込めるぜ!」


葉山裕二が物凄くいい笑顔でフリーレンズを育てていく。青から黄色になり、レアリティがSレアからSSレアになった。そこからSSレアプラスまで上がった。レアリティを上げると上限レベルも上がってより強くなり、スキルも解放されて行く。


「フリーレンズ4枚ゲットだぜ」


さっそくチケットに書き込むとおめでとうというコメントが多数寄せられると思いきや、もはや必須級キャラなので当たり前すぎて全くコメントがない。ログインしている人数は多いのに。メフェエレのユーザーは意外と冷たい。朝のマリエルとの会話はレアケースなのだ。


「はあ、虚しい。フリーレンズ以外には魅力を感じないし、青って意外と不遇だよな。他は外れ扱い壁役にはなるけどね」


葉山裕二は独り言を呟きながら更にストーリーを進めると、また章をクリアーして700%お得パックを出した。値段は11800円

だが、毎回内容が違う今回はランダムでSレアが当たるのが8つだ。属性も何が来るかは運だ。前回のお得パックよりかなり落ちるだろう。


「お、コメリナか2枚とマルーン2枚他はフリーレンズ3枚と素材キャラが1枚か大当たりじゃん!」


葉山裕二はかなり運がいいらしい。4属性ランダムなので強いキャラがこんなに沢山出るのは奇跡レベルだ。ビギナーズラックというのは恐ろしい。が、これで課金額が2万3600円になった。だが、引きがいいので5万円ぶんは当てたと言って過言では無い。


コメリナもマルーンもストーリー攻略には必須級キャラので手駒は全て揃った事になる。人間の運とは凄まじいもので当たり外れが大きい。これにより貴重なお得パックを最大の形で使用する事が出来たので葉山裕二は一気に戦力が充実された。


「さあ、刑期無やって小説更新したら寝よう」


葉山裕二はその凄さがわかっていない。何事も無かったようにメフェエレを閉じて刑期無のデイリーをプレイして、夕食を食べてシャワーを浴びて歯を磨いて小説を更新して寝た。おいおいもっと喜べよ。彼は幸運が普通の事のように慣れている。これも将来スマホゲーム王になる貫禄なのだろうか。





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